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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 4

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「ごめんくださーい」

 突如として白玉楼に響く声。それは白玉楼の門前から届いて来た。

「客人のようだな」

「そうね」と二人で言葉を交わす。そのどちらもが、客人を迎えようとしない。

「行かなくてもよいのか?」

「良いのよ。家に招いた友人を、いちいち持て成したりするのかしら」

 それもそうか、と西行寺に適当な返事を返す。その間も客人は変わらず呼び掛けを続ける。

「西行寺、ならばあれは西行寺の友人では無いのでは」

「それならそれで、妖夢が適当に追い返すわよ」

 それもそうか、と適当に返事を返す。だが、頭の中には腑に落ちないところ浮かび上がった。

「西行寺、俺が何故稽古をしていないと思う」

「妖夢がいないからでしょ」

「ならば妖夢が追い返すのは出来ないのでは」

「……」

 ……相変わらずだな。だが、この間抜けなところが西行寺らしいところでもある。

「ダウト」

「何がかしら?」

「西行寺、解っていて言ったな」

「あら、一体何のことかしら?」

「お前、出るのが面倒なだけだろう」

 だから、適当にあんな言い逃れをしていたのだ。
 此処でのんびりと過ごしていた方が、そりゃ楽だからな。
 まぁ、西行寺が放っておきたいと言うのなら、そうしよう。西行寺が出ないからと言って、代わりに俺が出るなんてことはしない。
 何故なら、俺もまた、西行寺同様に面倒だったからだ。

「静かだなぁ」

「全くねぇ」

 二人して桜の木の根元に腰掛け、ぼんやりと過ごす。
 静止した世界に、唯一時間を刻み続けるように舞い散る桜。
 蝶々は優雅に舞い踊り、鳥々は歌う。おぉ、正に天国にいる気分だ。実際此処はあの世だが。
 生と死、静と動の調和が織りなす極楽、とでも表現すればよいのだろうか。この暖かな春の陽気に当てられれば、自然とそう考えてしまう。

「あー、やっぱりいた!」

 静寂を突き破る大声が響く。
 誰だこの調和を乱すのは、と視線を彷徨わせ、見つけたのは三人の少女。大声を上げたと思われるのは、その三人の中で一番小さな赤い少女だ。
 この声は先程も聞いた覚えがある。白玉楼の門前で呼び掛けていたものと同一だ。
 ならば、彼女等は西行寺の客人、か。
作品名:東方無風伝 4 作家名:国城 龍耶