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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 4

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「うわ、姉さん以上に黒い!」

 赤い少女は続けて言う。
 恐らくは俺のことだろう。この場で黒いのは俺と、来客者の中の一人しかしない。
 来客者は黒色の少女、白色の少女、そして元気な赤色の少女の三人だった。

「リリカ、出会い頭にそれは失礼だよ」

「出会い頭じゃなければ良いってことよね、それは」

 黒い少女が赤い少女……面倒だ。黒いのは赤いのを窘(たしな)めると、白いのはそれの裏をかくようなことを言う。

「そう言う君は随分と赤いんだな」

 赤いのは俺を見つめる。

「赤いの言うな!」

「ふぐぉ!」

 怒声と共に腹を殴られる。
 所詮少女のか細い腕。大した腕力もなく、痛くは無いが予想もしない突然の出来事に驚く。

「いやいや、君とて俺を黒い人と称したんだ。お相子だろう」

「そうだけど、なんかそう呼ばれたくなくて」

 んな理不尽な。そう思っているのが顔に出てしまったのか、赤いのは不機嫌そうに顔を背ける。
 黒いのは赤いのを窘めるが、赤いのは聞く耳持たず。やがて黒いのは諦めたようで溜め息を吐いた。

「妹が失礼しました」

「いや、君が謝る事ではないさ」

 黒いのは妹に代わりに謝罪をしてくる。
 成る程、姉妹関係だったのか、関心しつつ、その様子に頬が緩む。
 別段俺は気分を害していない。何より、こうして戯れることが楽しかったりする。

「そうだ、自己紹介でもしようか。俺は風間と言う。よろしくな」

「ルナサ・プリズムリバー。本日は西行寺幽々子さんより、此方にお招き頂きました」

「メルラン・プリズムリバーよ。よろしくねー」

「リリカ・プリズムリバー」

 姉に咎められたことを気にしているのか、一人だけ妙に不機嫌そうに挨拶をする赤いの、もといリリカ。

「挨拶くらいはきちんとやろうな、リリカ」

「痛い痛い痛い痛い! 止めて離してごめんなさい!」

 ぐりぐりと、リリカのこめかみ付近を拳骨で捻じり上げる。
 悲鳴を上げるリリカは、本当に痛いのだろう、涙目になって抵抗する。

「助けて姉さん!」

「自業自得」

「面倒」

「薄情な! それでもあんたらは私の姉か!」

「ぐりぐり」

「いーたーいー!」

 ……楽しくなってきた。と言うのも程ほどにリリカを解放する。
 涙目で鋭い目つきで睨みつけてくるリリカ。
 それでも、そうやって恨まれたりするのが、楽しかったり。
 若いって良いなぁと、爺臭い感慨に耽(ふけ)ってみる。
作品名:東方無風伝 4 作家名:国城 龍耶