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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 4

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「西行寺、この娘達が、例の客人共の?」

「ええそうよ。盛り上げ役」

「そうか。では後五人となるわけか」

「そうね。まぁ、多分一人は遅れてくるでしょうね」

「あー、時間を守らないような奴か?」

「そうね。私達みたいに長く生きれば、少しの時間なんてどうでもいいのよ」

「考える事は、一日をどう生きるか、だな。長く生きれば、やることなんてなんにもない。短い人生をせっせと生きる人間が羨ましいよ」

「全くよ。楽しいことですら、半ば楽しみ、半ばどうでもよくて。飽きるのよ。生きる事に」

「西行寺は、死んでいるだろう。どうだ、死人の人生は、生きてる時と何も変わらないのか?」

「貴方が死んで、確かめてみればいいじゃない」

「そいつは勘弁を」

 あっはっはと西行寺と笑い合う。
 悠久に近い時を生きた人外だからこそ、言えるその言葉に、傍から見ればこの俺とて人外に思えることだろう。
 まぁ、実際人外なのだがな。

「風間さん、妖怪だったのですか?」

 そうルナサが訪ねてくる。

「なんだ、気になるか」

「いえ、気配が人間っぽいし、見た目もそうなので、てっきり人間かと」

「人間だよ。三割くらいはな」

「クォーターなの?」

 さぁどうだろうな、とメルランの言葉を適当に返す。
 彼女達は、この否定も肯定もしない曖昧な言葉に、きっとそうなのだろうと勝手に結論付けるだろう。
 生憎と俺は人間と妖怪のハーフなんかではない。純度シックスナインの存在だ。九が六つ並ぶその可能性は、俺が限りなく人間に『近い』何かと言うことを現している。
 そう、近い存在というだけ。
 ではその限りなく小さな可能性は何か? 其処に含まれる存在は?
 それが、俺の正体。だが濃密なシックスナインがその存在を隠してしまう。
 だから誰も俺の正体は理解出来ない。八雲紫ほどの人物ならば、違和感を感じる事はあるだろう。だが、それでも正体を視ることは不可能だ。
 何よりも、俺の『存在』は、万人も視たことが無い存在だから。

「……だからなのか?」

 其処まで考えて、少しだけ、気になっていた疑問が解けた気がした。
作品名:東方無風伝 4 作家名:国城 龍耶