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こらぼでほすと 一撃6

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 乱暴にニールの部屋のドアを閉めて、ハイネも遣り切れないな、と、息を吐く。どうや

っても元には戻らないのだ。それを騙し騙し生かしておいても、最終的に限界はくる。そ

れまでに、どうにかなっていてくれと願うしかない。刹那たちが、次の武力介入をやり終

えて戻ってくるのが早ければいい。たぶん、傍に黒子猫がいれば、親猫は少しは楽だろう









 本日のお客様は、友人たちと連れ立ってやってきたが、当人は、八戒の施術を頼んでい

た。施術の前に、ウエルカムドリンクのカクテルを飲むのが、いつものスタイルだ。恭し

く運ばれてきたのは、いつもの真っ赤なカクテルだ。だが、一口飲んで、おや、と、首を

傾げた。どこかで微妙に、いつものではなかったからだ。

「やはり、お気づきになりましたか。」

 その表情に、八戒も気付いて苦笑する。トダカのカクテルと色合いは寸分違わないが、

やはり微妙な配分は違うらしい。

「作り手が違うのかしら? 八戒。」

「ええ、うちの宿六が、本日のバーテンダーです。本職がお休みをいただいておりまして

・・・・臨時なものですから。エザリア様には誤魔化しは利かないだろうと思っておりま

した。」

「メイドイン悟浄?・・・くくくくく・・・・なるほど・・・・甘口なのは、そのせいね

?」

 エザリアの飲んでいるキールロワイヤルは、辛味のあるすっきりした後口のものだ。通

常のキールロワイヤルは甘口だから、悟浄の作るものが正解だが、大人の女性には少し子

供っぽい味になる。

「申し訳ございません。うちの本職が戻りましたら、いつもの味を提供できますので、そ

れまでお待ちください。」

「トダカさんは、どうかしたの? 」

「ええ、ちょっと腰を痛めまして。」

「あら、それはご愁傷様ね。」

 エザリアも、すでに常連様だから、バーテンの名前も知っている。ここのスタッフは、

各種取り揃えたイケメンぞろいだから、指名するのも楽しいし、ウエイターもバーテンダ

ーも、それに準じているわけで、目の保養にもなる。

「うちの宿六は本格的な修行をしておりませんので、エザリア様のイメージにまでは言及

できないんだそうです。」

「そうね。ここのトダカさんぐらいにならないと、好みの味にはしてくれないのでしょう

ね。次に治っていらっしゃるといいのだけど。」

「来週には、復帰できると思います。」

「では、来月には、いつものカクテルが味わえるわね。」

 エザリアも、本来はプラントでの仕事が大半だ。会議や視察で、地上に降りることは多

いので、その度に顔を出してくれている。今は、息子のイザークが、歌姫様の護衛につい

ているので、バイトをしていないから、顔を合わせる心配もなくやってこれる。一応、母

親としては、息子が嫌がるので、息子の勤務日は外しているのだ。

「はい。さあ、施術をさせていただいて、後で、キラと悟空と存分に遊んでください。」

「ええ、ストレス発散させていただきましょう。」

 カウチに優雅に足を伸ばしてエザリアは、八戒の気功波を浴びる。これで血の循環をよ

くして肩こりや頭痛なんかを取り除いてもらう。それから、キラや悟空とカラオケで盛り

上がって歌いまくるのが、エザリアのストレス発散だ。





 さて、どうにか、エザリアたちを気持ちよく送り出して、やでやでとウエイターとバー

テンダーはソファに伸びた。

「ダメだ。かなりの重労働だぞ。」

「てか、これでカクテルをフルは無理。いっそ、カクテルなしにしてくれ。」

「ビールがヤバかったです。もう、ほとんど空です。」

「料理とのマッチングを考慮すんの忘れて焦った。」

 大人数の対応となると、かなり大変だ。ビールの種類と本数も計算はしておくものだと

気付かなくて、最後にギリギリになった。ビールを担当したダコスタは、ラストオーダー

ギリギリで、近くのコンビニに走るか走らないか悩んだぐらいだ。

「中国酒縛りで、それですか? 悟浄。」

「あのさ、八戒。あっちのほうが一枚上手だったんだよ。俺らの知らないのばっかり注文

されたら、混乱するってーの。」

 簡単なカクテルと中国酒縛りのカクテルということにしたのだが、それでも、鷹も悟浄

も知らないのが注文されてしまい、できません、と、謝る羽目に陥った。さすがに、それ

は、ホストクラブとしては情けない話だ。

「つまり、お客様に応じて、ビールの種類だの量だのは計算してくれてるわけですか。・

・・・さすが、トダカさん。」

「ていうか、月曜日から復帰してくれるのかな? 」

 アスランもキラも、そこいらが不安だ。月曜日は予約がないからいいが、火曜からは、

ぼちぼちと予約がある。

「ちょっと無理じゃないかな。来週一杯くらいは休んだほうがいいらしいぞ。」

 ニールの看護に借り出されたハイネが返事すると、えーーという声が上がる。掃除なん

かもシフトを変えているので、みんなに負担があるからだ。

「てか、うちのバーテンダーは、さすが軍人だなって、こういう時にわかるよ。」

「あんたも軍人じゃなかったか? 鷹さん。」

「軍人だけど、きっちりした真面目な軍人じゃなかったからなあ。」

 一応、ここの責任者なトダカは、目立たないが居ないと大いに困る人だという認識は全

員に広がった。店の酒に関する事項は、一朝一夕にできるものではないらしい。

「月曜は休むとして、火曜から、カクテルなしにするか? 」

「そうもいきませんよ、虎さん。とりあえず、予約のお客様の傾向と対策をトダカさんに

教えてもらって進めましょう。俺が明日にでも、予約帳との突き合わせをしてきます。」

 予約客の好みの傾向なんかを教えてもらって、それでカクテルや酒の用意はするしかな

い。




 翌日は、土曜日で、トダカーズラブの人間が、トダカ家のハウスクリーニングに現れる

。ニールか゜見ている限り、当番が決まっているらしく、だいたい、同じくらいの人数が

やってて、半日ぐらいで部屋の掃除をしてくれる。今回は、いつもより人数が多いな、と

、思ったらトダカの見舞いに来れなかったメンバーの来訪が含まれていたらしい。

 大袈裟だ、と、トダカは叱っているが、こればかりはやめてくれるつもりはないだろう

。トダカーズラブの面々にしてみれば、アイドルの負傷だ。見舞いに来て、その怪我した

様子も拝見したいものだ。

「ニール、部屋の掃除は終わったから戻ってくれ。」

 もちろん、ニールの部屋も掃除対象で、一端、居間へ追い出されたが、片付けが終わる

と、また、部屋に呼び戻される。ハイネからアマギもニールの取り扱いについて説明を受

けたらしく、熱が下がったと言っても、容易に手伝わせてくれるつもりはないらしい。乾

燥機から取り出された洗濯物を畳もうとしていたら、メンバーの一人が、それを取り上げ

て部屋に連行された。途中で、トダカの部屋を覗いたら、こちらも大人しく横になってい

る。側には、メンバーが数人立っている。

「トダカさん、何か欲しいものはありませんか? 」
作品名:こらぼでほすと 一撃6 作家名:篠義