長い長い家路
観測班が興奮気味に調査を進めている間、大佐の手元にバトルフロンティア全体の状況が集まってきた。
物理的な損害は軽微。
緊急フォールドに巻き込まれたショックで、艦のフォールド機関にも障害が出ているが、48時間以内に修理可能。
それよりは警告なしのフォールドがもたらした衝撃で転倒した乗員たちの怪我の方が深刻だった。医務科がフル回転して対応している。
幸いにしてバトルフロンティアは1〜2年程度は航行可能なだけの資源・食料・医薬品を積んでいるから、当座の生存には問題ない。
医務科から寄せられた報告に目を留める。
「漂流者救助…SMSのパイロット、YF-29のか。バジュラ女王とコミュニケーション?」
話を聞いてみようと、手元の通話機で医務科を呼び出す。