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こらぼでほすと 一撃9

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では、確かに弱るだけだ。そして、看病対象が、これでは付き添いも出来ない。とりあえ

ず、キラの話を聞くとしようと、ティエリアもラボへ素直に出向くことにした。





 ウィークデーだが、本日、大明神様の指名はない。ということで、ラボに引き篭もって

いる。いろいろとアスランと試していたが、やはり、ティエリアの意見は欲しかった。

「用件はなんだ? 」

「ヴェーダの内部構造のことなんだけどね、ティエリア。」

 どっちも挨拶も何もない。いきなり本題だ。キラは、一部使用できる範囲を、ヴェーダ

を掌握している相手にバレないで広げようという提案をした。そして、その方法も何種類

か考えているものを、パネルに映して説明する。

「それは、生体端末に阻止される。」

「じゃあ、こっちは? 仮想空間を設定すれば、問題はないんじゃない? 」

「確かに、これは可能だが・・・・同時に何箇所か無効にしなければならないぞ? キラ

。その手筈は? 」

「別のところで構築したシステムを合体させようかなって。」

「なるほど。」

 当人同士は理解しているが、アスランですら、ちと不明なところがある。ふたりして、

いろいろと打ち合わせると、早速、そのシステムの構築なんてことになる。

「キラ、俺はロッ、ニールに頼まれたミッションがあるので、日曜日は寺へ行く。」

「うん、それは大丈夫。システムの構築だけでも、十日はかかるから、仕掛けるのは七月

になると思う。」

「じゃあ、分担を決めよう。全部、組み合わせて仕掛けるまで手伝う。」

 ヴェーダの使用範囲を広げるのは、組織のためで、『吉祥富貴』のためではない。そう

いうことなら、ティエリアも全力で手伝う。少しでも、ヴェーダが使えれば、組織のほう

も動きやすい。

「ティエリア、日曜日って、何かあるのか? 」

「特区のイベントなんだろう? アスラン。」

「イベント? 」

「『父の日』」

 ティエリアの言葉に、あーとアスランは納得した。ニールが何を頼んだのかもわかる。

トダカのほうには、シンとレイと一緒に贈ることになった、という話は聞いたから、寺の

ほうは悟空と組むのだろう。

「そうだ。アスラン、寺の近くの花屋を教えてくれないか? マップを俺の端末へ転送し

てくれ。」

「わかった。それなら、俺が手配しておこうか?」

 花の手配なら、ネットで簡単にできるのだが、ティエリアは首を横に振った。

「いや、ニールから頼まれたことだ。俺自身で、やらなければ意味がない。」

「まあ、そうだな。じゃあ、お勧めのフラワーショップを端末に転送しておくから、そこ

から選んでくれ。」

 実際に花を贈るなら、直に手渡すほうがイベントらしい。それに、ニールのことだから

、ティエリアからも感謝の言葉を贈らせようという意図もあるんだろう、と、アスランは

解釈した。


 大明神様と紫子猫の打ち合わせは、丸一日かかった。どこを分担するとか、どいうシス

テム設計をするとか、そういう大まかなものから、細かいところまでを決めた。大半は、

大明神様がアスランを助手にして作るが、ところどころ、紫子猫のほうが、よく理解して

いると思われる部分を紫子猫がやる。

「では、俺は本宅のシステムを借りる。」

 歌姫様の本宅の地下には、ラボのマザーと直結しているサーバーとシステムがあるので

、そちらで作業すれば、ラボでやっているのと変わらない。時折、親猫の様子を眺めに行

って、それ以外は、地下で過ごした。歌姫がいないし、親猫も寝込んでいるから、誰もテ

ィエリアに、なんだかんだと話かけることもなくて気楽に過ごしている。残念なのは、親

猫と話ができないこと。今の作業は、組織のためのものだから苦にならない。ただ、医療

ポッドに表示されている数値は安定しているから、雨が上がれば話もできる。紫子猫の降

下の目的は、気圧変化で弱る親猫の看病だ。だから、まあ、これでいいんだろうと納得は

している。昨年の秋に、降下した時よりは健康的になっているから、それほど心配になら

ない。ただ、のんびりと話はしたかった。それを楽しみに、作業を続けている。



 土曜日の夜に、明日が、それだった、と、気付いて、アスランからのメールを開いた。

何箇所かバラの在庫の多いところをピックアップしてくれていた。そこまでのマップも、

もちろん添付されている。

 残念ながら、まだ雨は降り続いている。空も灰色で、どんよりとしたままだ。医療ポッ

ドの中で、すやすやと寝ている親猫も、そのままで、日曜日なんて、とても起きられそう

もない。

「すまないが、明日、一箇所経由して寺へ送ってほしい。」

 本宅のスタッフに内線で連絡すると、了承された。バラの花を感謝の言葉と共に贈って

ほしい、なんて頼みごとは、なんとも親猫らしい。ティエリアからも、ちゃんとお礼は言

っておけ、とも言われている。まあ、特区に滞在している時は、親猫が元気なら一緒に寺

へ滞在している。世話してくれるのは、親猫だが、その亭主にも礼は言うべきだろう。

 翌日、午前中にクルマで寺へ送ってもらうことになった。店の情報を確認して、一番花

の多そうな店を選んで、そこを経由してもらうことにした。ティエリアは、あまりおつか

いなんてしたことがない。実働部隊のおつかいも、ほとんど、ニールが用意してくれてい

る。それを運ぶだけだから、実際に店頭で自力で選んで買うなんてものはないし、そうい

う場合、大抵、アレルヤが一緒で、相談していたのに、今回は、それもない。

 店先でクルマを降りて、傘を差した。ピンクの傘を手にしてショウウインドウを眺めた

。色とりどりの綺麗な花が飾られているが、ティエリアには、どれがバラかも、よくわか

らない。なんとなく、これかな? と、思うぐらいの知識しかないので、店の人間に選ん

で貰うことにした。

 店は、他に客もなく静かだ。店員がやってきた。まだ若い男で、ニコニコとしている。

「どんなお花をお探しですか? 」

「バラなんだが・・・・人に贈りたいんだ。どれがいいだろう? 」

「お相手の方は、女性でしょうか? お年は、おいくつぐらいでしょう? 」

「相手は、金髪に紫の瞳の男だ。年齢は・・・・・30前後だと思う。」

 坊主が聞いたら、「俺はじじいーずじゃねぇー」 と、殴られていることだろう。ニー

ルと、ほとんど変わらない歳なのだが、ティエリアの認識は、それぐらいになるらしい。

「そういう方でしたら、こちらの黒バラはいかがでしょう? もしくは、青バラなどが珍

しくてお奨めです。」

 黒といっても、真っ黒ではない。黒に近い赤という感じだ。なんだか、毒々しいとティ

エリアは気に入らない。対して、青いバラは、青や紫といった種類がある。

「この真っ青なバラがいい。」

「これは、ブルーローズと申しまして、花言葉は『神々からの祝福』です。お祝いには最

適ですよ。」

「それと、この紫。」

「こちらは、アプローズ。こちらは自然の青いバラです。」

「あれは自然ではないのか? 」
作品名:こらぼでほすと 一撃9 作家名:篠義