二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと 休暇1

INDEX|6ページ/7ページ|

次のページ前のページ
 

 休暇なら一ヶ月だが、ヴェーダの一部掌握という作業であるなら、その期間は引き延ば

せる。作業効率がどうとかいうよりも、その期間を最大限に引き延ばして、親猫に甘えて

やったら、どうなんだ? と、ハイネが説明する。お里へ顔を出したら、ティエリアはち

ゃんと食事しているのか? と、ニールに心配されていたから、キラたちとも相談して、

通いにさせることにしたのだ。どうせ、キラたちも特区へ毎日、行き来しているのだから

、それに便乗すればいいし、せっかく、親猫の傍に居るのだから、紫子猫も、毎日、顔を

合わせればいい。

「刹那は、そんなことをしているのか? あいつは・・・」

「おまえさんさ、そんなに堅苦しく考えなくてもいい、と、俺は思うんだけどな。ママニ

ャンも会いたがってるし、おまえさんだって、せっかく降下してるんだから、一緒に過ご

したいだろ? 」

「ニールは、俺と会いたいのか? 」

「そりゃ会いたいだろうさ。けど、寺のこともあるし、夏場は、あんまり動き回れないか

ら、別荘まで遠征するのは我慢してるんだ。」

 夏は、日中の外出は控えるように、と、ドクターからも厳命されている。それに、まだ

梅雨明けして間もないから、体調も万全ではないので、ラボへの遠征も禁止だ。せっかく

、降りてきているのに、一週間近く顔も見ないから、ニールも気にしている。

「だが、このミッションが完成すれば、もしかしたら、ニールの治療法がみつかるかもし

れない。」

「それはない。うちのスーパーコーディネーター様が、宇宙中のマザーに照会はかけてい

るし、ただいまも、新しいのがひっかかるように検索させている。それでもひっかからな

いものは、どこにもないはずだ。喩え、ヴェーダに一世代先の医療技術があったとしても

、それだって治験しないと使えないし、そういうのは最深部にあるから取り出しはできな

いだろう。」

 医療関係には、かなりのアクセスをしている。それでも、見つからないのだ。ヴェーダ

にだけあるとは考え難い。もし、あったとしても、そういう情報は最深部に保存されてい

るだろうから、一部掌握したぐらいで、そこまでは辿り着けないのも事実だ。

「おまえが会いたくないなら、別にいいけどな。」

 ハイネは、本日、ラボの当番だから、店の出勤時間を過ぎた、こんな時間でも、こちら

にいる。こういう時でもないと話せないから、顔を出した。紫子猫を歌姫の本宅までヘリ

で運ぶくらい、ラボを留守にしても問題はない。

「バカなことを。」

「なら、システムを消して準備しろ。」

 会いたくないわけがない。親猫とゆっくりしたいから、先に仕事を片付けようと思って

いただけだ。ハイネの言葉に、むっとして立ち上がった。





 本宅へ捨てられたので、屋敷の人間にニールのところへ送って欲しい、と、依頼したら

、店のほうへ送られた。まさか、働いているのか、と、思ったら、店の前に親猫が立って

いる。

「ありがとうございました。」

 送ってくれた屋敷の人間に声をかけて、ティエリアが降りるのを待っている。ニコニコ

としている親猫は嬉しそうな笑顔だ。

「なぜ、ここにいるんだ? ニール。」

「ハイネから連絡が入ったから、迎えに来たんだ。明日、寺に帰るんで、ちょうどよかっ

たよ。」

 紫子猫をラボへの通いにすんぞ、と、ハイネから連絡が入った。着替え一切は、マンシ

ョンにあるから、それを用意して店の前で待っていた。トダカ家は、ここから徒歩数分の

ところだから、ここで待ち合わせにすればすれ違いはないだろうというのが、間男の計算

だ。

「あなたが会いたがっていると聞いた。」

「そりゃ会いたいさ。すぐ近くにいるのに、戻ってこないんだからさ。ちゃんと、風呂入

ってたか? それに、メシも食ってたんだろうな? ベッドで寝たか? 適当にラボの仮

眠室に転がってたんじゃないだろうな?」

「俺は刹那じゃない。」

「わかってるよ。でも、おまえさんも、ひとつのことに集中すると、結構、他は無視する

だろ? 」

 そう言われると、そうだから、ティエリアも詰まる。食事は用意されていたが、風呂へ

睡眠なんていうのは適当だった。

「明日は、無理だけど。明後日から、お弁当をしてやるから、それを食べろ。うちから通

いでいいってことになったから、そうすれば栄養も偏らない。」

「あなたも同じものを食べるんですか? 」

「まあ、似たようなものになるだろうな。」

「それならいい。その荷物は? 」

 ニールの足元には紙袋がふたつある。重そうではないが、それでもひとつは持とうと手

を出した。割と軽いものだ。もうひとつはニールが持つ。

「おまえさんの夏用の衣類。マンションから取ってきた。・・・・そこのコンビニであん

みつでも買おうか? それとも、まだ晩飯食ってないなら、どこかで食おう。」

「食べてない。」

「なら、まずは食事だな。」

 帰り道にも、ファミレスくらいはある。そこへ立ち寄って食事してから、トダカ家に帰

ることにした。

「トダカ家は初めて泊まる。」

「ああ、そうだな。トダカさんが喜んでたよ。ティエリアと晩酌するんだと。」

「晩酌? 」

「おまえさんは、ジュースで付き合ってやってくれ。あの人は、寝る前に軽く飲まないと

寝られないんだ。」

「あなたは? 」

「俺も、ウーロン茶。」

 そんな話をしていると、ティエリアもほっとする。こういうのが毎日あるなら、通いの

ほうが楽しい。ハイネが、上手い具合に引き延ばすように考えろ、と、言ったのは、こう

いうことなのだろう。時間の使い方というのは、様々なものだな、と、考えつつ、ファミ

レスに案内される。

 何が食べたい? と、尋ねて来る親猫の右目は、やはり動かない。けど、その顔が作る

笑顔はホンモノで、それにはティエリアも胸は痛くならない。

「俺が食べたほうがいいものを選んでくれ。」

「野菜だろうな。あと、デザートかな。まあ、ここいらのは、どうだ?」

 野菜が食べられそうなメニューのページをティエリアは見せられる。彩りの綺麗なもの

を指すと、はいはい、と、次にデザートだ。そちらには、最近のティエリアのお気に入り

のあんみつがあったので、すかさず、それだ。

「和菓子が気に入ったんだな。じゃあ、俺がところてんをオーダーするから、こっちも味

見してみな。」

「それも、あっさりなんですか? ニール。」

「黒蜜かけるとあっさりデザート。酢醤油をかけるとあっさり酢の物になる。どっちがい

い? 」

「デザートがいい。」

 じゃあ、それで、と、オーダーをする。ほっとすると、なんだか疲れていたんだな、と

いうのにも気がついた。根を詰めていたから、気付かなかったらしい。

「刹那はラボに通っていたと聞いた。」

「ああ、エクシアのセッティングとか修理でな。」

 詰めれば三日で終わるのを五日かかっていたが、それでも刹那は親猫と毎日、会いたか

ったから、そうしていた。緊迫した事態の時なら命取りの時間だが、今は、そんな事態で
作品名:こらぼでほすと 休暇1 作家名:篠義