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こらぼでほすと 休暇2

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 一応、三蔵の上司だが、八戒は気にしない。使えるものは親でも神でも使うのが、八戒

だ。

「どうせバレますよ? 三蔵。それなら、それを有効利用したほうがいいでしょう。」

 悟空は嘘なんかつかないのだから、日頃の生活について話したら、それでバレる。八戒

たちは、遠征して来られても、さほどの被害はない。おそらく、被害を被るのは寺の夫婦

だ。特に亭主のほうが被害甚大であるだろう。

「八戒は、なんか土産いらね? 」

「茅台酒の古酒があったらお願いします。」

「寺にあったらかっぱらってくる。」

「いえ、天蓬さんに、そう言っておいてください。たぶん、良いのを選んでくださるでし

ょう。」

 情報が欲しければ、ブツを寄越せ、という意味だとは知れるだろう。意思疎通ができて

いる相手は、とても便利だ。それだけで、いろんなことを理解してくれる。

「八戒、おそろしいヤツ。」

「何言ってるんですか? 悟浄だって、飲むじゃないですか。」

「そりゃ、白酒の最高級品なら飲みたいけどな。」

 真実知ったら、ママニャンは目を廻すんだろーなーと、悟浄は苦笑する。悟空が何者な

のか、ニールは知らない。『吉祥富貴』の面々は知っているが、口にするものはない。な

んせ、『吉祥富貴』には、人間でも、ちと毛色の違うのが交じっているから、一概に人間

枠だから、と、一括りに出来る代物ではないからだ。そのうち、おいおいに知ることには

なるだろうが、今のところは教えていない。

「三蔵、遠征してくるなら秋以降にしてもらってくださいね。夏は、フェルトちゃんと刹

那君が戻りますから忙しいので。」

「誤魔化す方向で行くぞ。」

「できるなら、それで押し通してください。」

 それは無理だろう。年季が違う。生きている年数もさることながら、潜ってきた修羅場

の数も、自分たちとは比べものにならないのばかりだ。三蔵の舌先三寸で誤魔化せるとは

思えない。久しぶりに、顔を合わせるので、八戒や悟浄にしてみれば楽しいだけだ。だか

ら、秋以降に、と、期限まで決めている。






 坊主とサルを空港で見送った沙・猪夫夫は、のんびりとドライヴデートに出発した。土

日は店もないし、別に家にいなければならない用件もない。とりあえず、クルマを流して

、その時の気分で行けるとこまで行こうということになっていた。

「僕らだけ申し訳ないですね。」

「いいんだよ、ラボのほうは俺らに手伝えることじゃねぇーんだし、ママニャンとこには

トダカさんが出張るし、店は休みだ。こういう時は、休養とるのが基本だろ? 八戒。」

 肉弾戦組は、こういう時は用事がない。店があれば、そちらの仕事をするが、それも休

みとなると、完全に暇な状態だ。コーディネーター組は、本日からラボで総出で、ヴェー

ダの一部掌握ミッションを開始する。そういう電脳関係は、悟浄にも八戒にも、ちんぷん

かんぷんで、手の出しようがない。

「それで、ハイウェイを南下してますが、目的地は決まったんですか? 」

 ハンドルを握っているのは、亭主のほうだから、女房のほうは、のんびりと車窓からの

景色を楽しんでいる。真夏の真っ青な空と、光が乱反射している海なんてものが、ハイウ

ェイの周囲には広がっている。

「ちょっと里心ついたから、中華街で飲茶ってとこまでは決めた。」

「小龍包の肉汁たっぷりなのが食べたいですね。」

「いいねぇー、それで、キンキンの生ビールだな。」

 沙・猪夫夫だって、食べ慣れたものが好きだ。飲茶なんかは自分で作るのは面倒なメニ

ューだから、そういうのは中華街へ食べに出向く。特区には、何箇所か華僑が住み着いた

地域が、昔からあって本場に近い中華な食事が味わえる。

「それなら、保存のできる食材も買出ししておきましょう。うちの近所には、本格的なの

がありませんから。」

 調味料や缶詰になっている中華食材も買い出すことにした。簡単なものや、レトルトは

あるが、本格的なものが揃うのも中華街だけだ。

「どこまで行くか考えてないから、生モノはやめろ。」

「わかってますよ。お茶と漢方の材料も少なくなってるのは買い足しておきましょうかね

。あと、青島のゴールドがあれば?」

 亭主のお気に入りビールも、ここでなら買える。いつもは、店の仕入の時に便乗してい

るが、あまり流通していなくて、なかなか取り寄せられない。

「ゴールドなあ。あったら、箱で買うぞ。」

「はいはい。ま、僕の予定としては、そんなとこです。」

「それ、全部やってたら、晩メシも、ここになりそうだな。」

「久しぶりに潮州料理を食べませんか? 悟浄。」

「タイワンガザミのカニ味噌つつきながら、ビールっていうのもいいな。いや、この場合

は、老酒のほうがいいか。」

「僕は、フクロタケが食べたいですね。あれは、白酒と合う。」

 久しぶりに、中華街を満喫するなら、と、ふたりして食べたいものを並べて笑う。どう

やら、本日は、中華街で一日過ごして、そこいらで泊まりになりそうだ。





 さて、ラボのほうでは、悟空を除けた年少組を中心として、ミッションの説明がなされ

ていた。ヴェーダを一部掌握するというのは、かなりの労力を使うし、作業量も生半可で

はない。説明するアスランも真剣だし、そこで、端末を睨んでいるキラとティエリアも真

剣だ。

「ティエリアは、絶対に、仮想空間の内側に入っちゃダメだよ? 外からのアクセスに集

中して。内部は、僕が抑えて広げる。」

「ひとりだと効率が悪いだろ? キラ。」

「でも、ティエリアはリンクしてた過去があるから、相手に気付かれる心配があるでしょ

? それに、ひとりじゃないよ。僕のフォローは、シンとレイにやってもらう。きみのほ

うは、ダコスタだけだからね。」

 ティエリアは、ヴェーダ内部には侵入させない。外部から、アクセスして仮想空間を固

定させる。内部は、キラの担当だ。ティエリアが作っていたシステムも、キラが少し書き

換えた。もし、ヴェーダ側にいるティエリアと対になる生体端末が気付いても、対処でき

ないようにするためだ。

「アスラン、俺は、おまえさんのフォローだけでいいのか? 」

「ああ、それと、別の方向から、ヴェーダの動きを監視してくれ、ハイネ。」

 アスランとハイネは、別働隊で、ヴェーダへ攻撃を食らわす。こちらは派手に見つかっ

て無駄に追跡させるのが役目だ。生体端末たちの目が、そちらに向けば、キラたちの作業

がスムーズに行える。

「とりあえず、今晩1900より開始だ。それまでに、全員、仮眠と食事はしておくこと

。それから、ティエリア、ニールに連絡だけしておいてくれ。」

 心配するから、一日に一度は連絡させることにしている。丸三日も音信不通だと、親猫

は気にするからだ。

「わかっている。あの人には、毎日、声だけは聞かせる約束だ。」

「たかだか三日でへそんな約束してんのが、ママニャンだよなあ。」

 直接攻撃されるようなことではないのだが、それでも親猫は気になるらしい。ティエリ
作品名:こらぼでほすと 休暇2 作家名:篠義