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こらぼでほすと 桃色子猫

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 翌日、エアポートまでニールは出迎えに出た。ここで顔合わせだけして、そのまま桃色子猫はカガリの別荘に拉致される。先発しているレイとシン以外は、一緒に待っていた。
「ママ、俺がいないからって動きまくったらダメだかんな。」
「わかってるよ、悟空。こっちは、三蔵さんとのんびりしてるから。フェルトのこと頼むな? 」
「おう、今回は海に潜るんだ。なんかデカイのがいたら獲ってくる。」
「まな板に乗る範囲でな。俺、そんなもん捌けないぞ。あ、アスラン、カガリに差し入れは控えめにしてもらってくれ。」
「うーん、一応、進言はしますが・・・諦めてください。ああいう性格なんです。」
 そんな長閑な話の間に、アライバルゲートを抜けて桃色子猫が走ってきた。ぼすっっと親猫にダイブしてくる。
「ただいっまぁーっっ。」
「おかえり、フェルト。」
「あたしにまで、八つ当たりグッズありがとーニール。」
「いや、そういう意味じゃなかったんだけど。」
 ティエリアが戻る時に、フェルトにもワオキツネザルのぬいぐるみを預けた。それの礼だ。ぎゅっぎゅっと抱き締めあうと、離れて周囲にも挨拶する。何度も遊んでいるメンバーだから、フェルトも怖くないから笑顔だ。
「カガリたちは元気? 」
「今から会えるよ、フェルト。」
「う? 」
 フェルトは、こちらの予定を知らされていない。実はな、と、ニールが説明すると、ちょっとしょぼんとする。せっかく、親猫に逢えたのに、すぐに終わりは残念だ。この親猫、特区の外へは出られない。だから、オーヴには行けない。
「でも、帰ってきたら一緒にプールに行こうな? フェルト。それから新しい水族館も開拓しといたからさ。」
 だから、そういう顔をしなさんな、と、親猫に背中を撫でられる。せっかくだから、と、用意してくれている『吉祥富貴』メンバーにも悪いだろ? と、諭される。
「遊んでくれる? ニール。」
「ああ、もちろんだ。三蔵さんも一緒に行ってくれるぞ。パパとママが揃って参加だ。」
「なら、カガリのところで遊んでくる。」
「よしっっ、目一杯、遊んで来い。」
 よしよし、と、頭を撫でてキラたちのほうへ、桃色子猫を前に押し出す。じゃあ、行こう、と、キラと手を繋ぐと、プライベートジェット駐留地のほうへ進んでいく。ぎりぎりまでニールも見送って、そこから寺へ戻る。お盆ウィーク突入で、寺への墓参り客も増えているし、坊主も分刻みのスケジュールだ。自分だけゆっくりしているわけにはいかない。

 寺へ戻ったら、ちょうど坊主が戻っていた。昼休みであるらしい。バイトのほうも、順番に食事休憩はしているだろう。あちらは、脇部屋に簡単なものは運んでおいたから、どうにかしているはずだ。
「おかえりなさい。食事入りますか? 」
「当たり前だ。」
 食わなきゃやってられるか、と、吐いて、ごろんごろんと畳の上を転がっている。すでに、缶ビールが二本ほど卓袱台に放置されている。黒袈裟も無造作に投げ出されている。
 簡単な食事を用意して卓袱台に載せて、そちらの手入れをする。まだ、午後からの巡回があるから乾かしておかないといけない。それに、下に着ている着物も着替えさせるために準備していた。この暑さの中をスクーターで走り回るのだから、朝の分は汗でぐしょぐしょだ。
「おまえは? 」
「食べます。」
「なら、相手をしろ。」
 卓袱台には一人前しかない。女房が食わないなんていうのは、坊主の機嫌が下降する。あっさり豚しゃぶとかワカメサラダなんていうのと並んで、サワラのマヨネーズ焼きなんかが用意されているのが、女房の愛だ。
 そして、ご飯だけ持ってきて、女房が、それを一緒につつくなんてことになる。さほど食べないから、一人前は必要ではないらしい。
「これ、食え。」
「そんなにいりませんて。あんた、午後からのほうが長丁場なんだから、しっかり食ってください。ほら、焼いたマヨネーズも好きでしょ?」
「好きだからこそ、おまえも食え。」
 なんていうか、いちゃいちゃだ。手伝いがてらに顔を出しているトダカが、微笑ましいと声もかけずに観察するくらいにいちゃいちゃだったりする。
「おい、舅。覗き見か? 」
 しかし、坊主は人の気配には敏感だ。すぐに振り向かれた。もぐもぐとご飯を食べていた女房のほうも、すぐに、「お疲れ様です。」 と、顔を向ける。
「トダカさん、食事は? 」
「済んでるよ。娘さん、ビールをくれないか? 」
 トダカの仕事は、卒塔婆書きとニールのお昼寝監視だ。だから、午後からふらりとやってくる。坊主ほど達筆ではないが、トダカも、そこそこの文字が書けるので、頼んだ。
「これだけかい? 三蔵さん。」
「もしかしたら、バイトが受けているのがあるかもしれないから、そっちは確認してくれ。」
 チェストの上に置かれている帳簿が、墓所にある檀家のものだ。ひとつずつだったり、個人単位だったりするから数も多い。いつもは、夜に坊主がやっている。
「確認してきましょうか? 」
「後でいい。先にメシを食い終われ。俺の相手を蔑ろにすんじゃねぇ。」
 まだ、女房のお茶碗には半分のごはんがあるわけで、坊主が、コメカミに怒りマークを浮かせつつ命じる。
「慌てないからね。」
 トダカも頷きつつ、ビールで喉を潤している。はいはい、と、女房も亭主と食事を再開する。電話による回向予約は、終っているので静かなものだ。
 食事が終ると、一服して、坊主は慌しく午後の予定に出て行った。こればかりは、サボるわけにはいかないらしい。一応、本業だから真面目に働いている。
「ここ、片付けたらお願いします。」
 卓袱台の上を片付けて、トダカに卒塔婆書きの仕事を依頼する。それから、墓所のほうへ、麦茶やジュースのペットボトルを担いで、ニールが出て行く。とりあえず、水分補給をさせておかないと危険だから、それらだけは寺から用意している。向うには盥に板氷を入れて、そこにペットボトルをつけている。若い衆とはいえ、この暑さは大変だから、脇部屋のひとつを休憩室に開放して、そちらに食事も準備している。いつもと違う厚待遇に、バイト衆は、びっくりだが、とてもありがたいので、西洋人の手伝いさんは好評である。
 まあ、なんでも世話するのがあればいいんだろう、と、トダカも苦笑しつつ様子を見ている。懸想されることがなければ問題はない。
 で、回廊のほうへ顔を出していたら、「今度、飲みに行きましょう。」 とか、大声で誘われているのが聞こえる。

・・・・うちの娘さん、そっちの人には受けがいいんだなあ・・・・

 感心するやら、おかしいやらで、トダカは腰を上げたのだが、「俺は酒が呑めないんだ。行くなら、うちの亭主もついてくるぞ? 」 と、返しているので、これは大丈夫だ、と、居間に引き上げた。




 オーヴまでプライベートジェット、そこからはジェットヘリという行程が過ぎると、カガリの個人所有の島へ到着する。以前、ゴールデンウィークも、ここに来たから、フェルトも驚かないが、島ひとつを所有する資産家というのは、普通ではないだろう。
作品名:こらぼでほすと 桃色子猫 作家名:篠義