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こらぼでほすと 桃色子猫

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 なるほど、と、他の三人も、また潜る。今度は、大きなエビや貝を両手にしている。その間に銛で、カガリのほうは大きなハタを仕留めて来た。これもおいしい魚だ。

「カガリ、俺にも銛貸してくれ。」

「じゃあ、これ、持って行け。」

「アスハ、俺とレイにも。」

「アスラーン、銛を三丁投げてくれ。」

 これが一般人なら、アスランも泳いで届けに行くところだが、コーディネーターとか筋肉脳姫に、そんな優しいことはしない。いくぞーと、三丁を投げる。海へ沈む前に各人が、その銛を掴んで、さらに潜水だ。

「キラ、あたしも何か取ってみたい。」

「じゃあ、あれ、試しに獲ってみる? 」

 海中にいる大きな獲物をキラが教える。動きが鈍いから、潜れたら獲れるものだ。フェルトは、よおーしっっと、ざぶんと潜ったが、なかなか海底には届かない。何回かチャレンジしたら、ようやく掴んで浮上できた。

「これ、ぐにぐにだけど食べられるの? 」

「どうかなあ。アスラーン、これ、食べられると思う? 」

 船から見ているアスランに、それを見せたら、「これは無理じゃないかなあ。」 と、苦笑された。

「ここいらのナマコは大きいけど食べられないのが多いって聞いてる。」

「そうなんだ。残念。じゃあ、何か他のを捕まえようか? 」

「うん、貝とかいないかなあ。」

 ナマコは、海底にリリースされた。ヒトデもいるのだが、あれは食べられないのだ、と、キラも説明する。カガリたちは、じゃんじゃん獲物を船に投げ込んでいるが、キラとフェルトでは、何にも発見できない。

「カガリ、ストップッッ。僕らにも獲れるのを見つけてよ。」

 船の横に戻って、錦エビを放り込んだカガリを捕まえて、キラが頼む。せっかくだから、自分たちも何か獲ってみたいとお願いすると、しばらく海中を探して、カガリが顔を上げた。

「フェルト、いいか? あそこのテーブルサンゴの下に、白いものがあるだろ? 」

 水中を覗き込ませて、カガリが説明する。そこには、確かに白い石のようなものが何個かある。

「あれ、ヤコウガイだ。あれをやれ。キラ、おまえは、そっちの黒いギザギザが見えるか? あれ、シャコガイだから、あれ。どっちも多少重いから、何回か揺さぶりをかけて剥がせ。」

 それだけ説明すると、カガリは、また遠くのほうへ泳いでいく。キラにはないサバイバル能力で、どっちが男なのかわからない。

「どう? フェルト。獲れそう?」

「うん、やってみるっっ。」

「よしっっ、僕も。」

 ふたりして、同時に潜っていくが、さっきより上手くなっているのか、海底まで一直線だ。それを眺めつつ、「いつから漁業になったんだ? 」 と、アスランは大爆笑だ。みんなで、どかどかと狩りをして、戦利品で船は一杯になった。全員が空腹で、船に上がって来たのは、ちょうど昼時だった。

「午後からは、浜でボディボードを教えてやるからな。」

「うんっっ。ねーカガリ、この貝、食べた後は持って帰れる? 」

「ああ、こいつらなら大丈夫だ。ママの土産か?」

「うん、前に拾ったのも綺麗だったから、浜でも拾うよ。」

「私とラクスも手伝おう。」

「ありがと。」

 ただいま、ラクスは、オーヴでの仕事で午前中は留守をしている。午後からの浜辺でのレクリエーションには顔を出すだろう。

「午後からジェットスキーもしようぜ? カガリ。」

「おまえ、動かせるのか? 悟空。」

「三輪バギーと一緒だろ? ああっ、おまえはフェルトを乗せるなよ? カガリ。俺が乗せる。」

 カガリは闘争心に火が点くと、背後にフェルトを乗せていても無茶をする。ジェットスキーだと、かなりのスピードになるから、悟空が止める。以前、三輪バギーの時も、フェルトが吹っ飛ぶと青くなるほどの無茶をしたからだ。

「いや、俺が乗せるよ、悟空。どうせ、おまえたちは、レースになるからな。危ない。」

 もちろん、その話を後で聞いたアスランも、カガリの暴走は危険だから、自分のところへ乗せると言う。どうせ、体力自慢たちは、レースだなんだと走り回るのだ。それに付き合わせたら、フェルトが落ちるのは確実だ。

「なあ、フェルト、俺とバナナボートに乗ろう。あれなら落ちても危なくない。引っ張るのは、レイな? 」

「ああ、わかった。救命胴衣をつけるから落ちても浮かべるから大丈夫だ。」

 妹のいたシンは、フェルトを構うのも慣れたものだ。何かと一緒にやってやる気でいる。レイも、それに穏やかに微笑んで頷く。親猫から頼まれているから、自分も構う気満々だ。

「僕も、バナナボートの乗るよーシン。」

「りょーかいっす、キラさん。」

「アスラン、監視はたまに交替しましょう。あなたも楽しんでください。」

「ああ、適当に頼むよ、レイ。」

「さあ、メシだ、メシっっ。フェルト、腹一杯にしろよ? 午後からも目一杯暴れるぞ。」

「うんっっ。キラっ、いこっっ。」

 船が桟橋につけられると、カガリはフェルトの手を取って、フェルトはキラの手を取って歩き出す。たぶん、今夜の夕食に、この戦利品たちは並ぶんだろーなーと、悟空は、ムフムフと笑って、カガリの後を走る。残ったものは、その戦利品を片付けて、スタッフに頼んで後にする。さすが体力自慢の面々だ。手で獲ったにしては、すごい量になっているから、島のスタッフたちも驚いている。





 ラボのほうには、ハイネと鷹が陣取っている。虎とダコスタは、オーヴのファクトリーへ出張っている。何機かのMSのメンテナンスの打ち合わせだ。あちらでマリューも合流するからアイシャも連れて行った。ヘルベルトとマーズの四人で交代しているので、組み合わせも、こんな感じになる。

「俺にも夏休みをくれ、鷹さん。」

「それなら、年上から取るのが筋だろ? ハイネくん。・・・まあ、取ったところで、マリューは居ないから、ナンパするしかないんだけどなあ。」

「だから、俺。」

「おまえだって、どうせ寺で間男するだけだろ? それなら、お兄さんと一緒に働こうな? 」

 さすがに、全員が休むわけにもいかない。イザークとディアッカも、歌姫さまのガードは休みだが、プラントに戻って、いろいろと動いているし、キラたち年少組もオーヴ関連の予定は入っていて、完全休暇とは言い難い。唯一、桃色子猫だけは完全休暇だが、こちらは、組織に戻ったら、ここからは休みなんて取れるかどうか不明という状態だから、むしろゆっくり休んでくれ、と、思う。

 事態は着々と進んでいる。独立治安維持部隊、通称アローズも、かなり増強された。各国からのエリート軍人を引き抜いて、部隊の人員も強化されているし、開発されているMSも新型ばかりだ。

「まあ、今のところは、うちのと性能では雲泥の差があるからいいんだけどさ。物量作戦になると、まずいんだよなあ。」

「それは、どう足掻いても対抗できるもんじゃないぜ? 鷹さん。」

 『吉祥富貴』にも、かなりの数のMSは存在するが、さすがに連邦の軍人さん全員は相手に出来ない。そうなったら、プラントへ逃げ込む予定だ。まあなーと鷹も頷く。そういうことにならないために、あちらの動向には目を光らせているのだ。
作品名:こらぼでほすと 桃色子猫 作家名:篠義