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こらぼでほすと 桃色子猫

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「あー私も、フェルトを拉致したいですわ。」

「ほら、見ろ。おまえだって言ってるじゃないか、ラクス。」

 ふたりから、取り合いをされて桃色子猫は大笑いする。立場は違うが、ふたりとも、桃色子猫の少し先を歩いている。こうなるためには生き残ることが前提だ。

「お待たせー。」

 キラがアスランと用意してやってきた。時間は、ちょうど出発の時間だ。カガリの側近もやってきた。名残惜しいが、いつまでも遊んでいられない。

「じゃあ、働くかっっ。フェルト、またな。」

「うん、またね、カガリ。」

 手を振って颯爽と歩き出すカガリは、仕事の顔に戻る。

「では、ごきげんよう、フェルト。」

 歌姫様も、手を振ってカガリの後を追う。こちらも、仕事の顔だ。

「俺たちは、夕方に戻る。」

「フェルト、帰ってきたらゲームしようね? 」

 アスランとキラは、割と気楽な顔だ。表立ったころには行かないから、仕事の顔なんてものにはならないらしい。テラスに、ぽつんと残された桃色子猫は、くふっと笑って、悟空たちと合流しようと、こちらも移動する。

 砂浜をランニングしているから、すぐに見つかる。すでに、シンとレイは砂浜で大の字に倒れているが、悟空は、まだ、それ、ランニングか? という勢いで走っていて、かなり遠いところにいる。

「みんな、出かけたのか? 」

 上から覗き込んできた桃色子猫に、シンが声をかける。コーディネーターでも、対人間チームの悟空には敵わない。ハイスピードランニングで、バテた。

「うん。キラたちは夕方に戻るって。」

「今日は、ドライヴしようか? それとも海で遊ぶか? 」

「シンは、どっちがいい? 」

「なんでもいいよ、俺は。レイは? 」

「俺も、どちらでもいいんだが、フェルト、貝殻を探すなら、あの山の向こうのビーチにも遠征したほうがよくないか? 」

 桃色子猫は、綺麗な貝殻を拾うのが楽しいらしい。毎朝、別荘の前の砂浜を散策している。他にもビーチはあるから、そちらも探せばどうだろうと、レイは提案した。

「うん、行きたいな。」

「じゃあ、とりあえずドライヴがてらに、あっちのビーチまで行こうぜ。」

 どっこいせ、と、シンとレイが起き上がる。完全に砂まみれだ。そこへ疾走していた悟空も戻って来た。

「フェルト、こんなのいるか? 」

 ポケットから取り出したのは、丸っこい貝だ。巻貝だが、すべすべして真っ白で、フェルトの収拾物にはなかった。

「欲しい。」

「ん、じゃあ、やる。」

 貝殻拾いなんて、悟空には思いつかないものだったが、女の子って可愛いことをするんだなーと、走って砂浜の端っこまで行った時に見つけたから拾ってきた。海の思い出にするんだ、というフェルトに、綺麗なものを持たせたかったからだ。

「なあ、シン。午後から海に出ないか? 俺、ママとさんぞーに、あのデカイ貝食わせてやりてーんだ。」

 二日目に、カガリが美味いぞ、と、教えてくれたヤコウガイは、とても美味かった。どうせなら、あれを持って帰りたい。

「いいな、じゃあ、午前中はドライブして、向こうのビーチで貝殻探して、午後から漁業ってことにするか。」

 シュノーケリングなんてスポーツ感覚ではないので、漁業と呼んでいる。何度か、やったが病み付きになるおもしろさだった。

「悟空、魚はいらないからな。カガリが、また差し入れを手配している。」

「わかってるよ。ママにも、まな板に乗るぐらいのにしろって言われてんだ。」

「あ、そうか。焼くにしろ煮るにしろ、その大きさが限界だな。」

 二日目に、でかいのばかり獲っていたシンも、気付く。一般家庭より広い寺の台所にも、そんな大型魚を捌くスペースはない。

「ホットプレートでも50センチくらいだろうな。」

「うーん、小さいな。」

「だから、魚はカガリが手配して、以前みたいに捌いたのを用意しているから持ち帰れないぞ。」

 おまえたち、人の話を聞け、と、レイが注意すると、ああ、そうか、と、シンと悟空が頷く。桃色子猫は大笑いしている。

「あたしも、何か獲りたい。」

「うーん、じゃあ浅いとこへ案内してもらうか。」

 この海域のどこに、何がいるのかは、別荘の人間にしかわからないので、案内してもらうことになる。その時に、浅瀬で、フェルトが潜れるところを頼めばいいだろう、と、悟空が言うと、そうだな、と、レイとシンも頷く。ナチュラルな桃色子猫では、それほど深くは潜れないし、危険な生き物がいる海域は避けてもらわないといけない。怪我なんてさせたら、寺のおかんに何を言われるかわかったもんではない。下手をすると、おやつ禁止とか言い出しそうだ。

「とりあえず、水で砂を洗い落として、三輪バギーを借りるか。」

「フェルト、俺らが、それ、やってる間に、三輪バギー貸してくれって頼んでくれ。」

「それから、午後からシュノーケリングすることも伝えて欲しい。」

「わかった。行ってくる。」

 砂浜をてってかと歩きづらそうに桃色子猫は、別荘のほうへ戻っていく。残りの三人も、後ろからついていく。

「もう、明日には帰るのか。早いなあー。」

「ああ、おまえらさ、帰ったら、うちの家族、プールに行くんだけど参加するか? 」

 この後の予定を思い出して、悟空が尋ねる。遊園地を併設しているプールへ、フェルトを連れて行くと、ニールは約束していたから、予定が合うなら来るか? というところだ。悟空の言う家族というのは、寺の夫婦のことだから、珍しく坊主も出張るらしい。

「それは、アッシーが必要だろう、悟空。俺とシンが参加しないと移動が大変じゃないか? 」

 寺の人間は、基本的には運転しない。クルマはあることはあるが、主に使っているのは、女房の間男だったりする。

「ハイネが来るだろ? それに、キラたち。」

「キラさんも行くのか? 」

「聞いたら、『行く』って、ふたつ返事だったぜ。アスランも来るから、アッシーはどうにかなるさ。」

「予定がなければ参加する。」

「俺もする。」

「じゃあ、帰って二日くらいしたら行くぞ。」

 ウィークデーだから、午後早くには引き上げることになる。盆明けで、店を再開するから、お客様の予約は、すでに入っているので休めない。フェルトが帰るのが、火曜日だから、それまでに、もうひとつくらいはイベントをやりたいとは、キラも考えているらしい。とりあえず、プールとニールとのデートだけは確定している。

「俺、フェルトが帰ってからのほうが心配だ。」

 シンが、そう言って苦笑する。レイも、同じ顔をしている。桃色子猫が帰ったら、確実に、親猫は寝込むだろう。

「そっちのフォローも頼むぜ。うちのおかん、俺らがいれば、なんとかなるからな。」

「了解。」

「しばらくは、日参するさ。」

 別荘まで辿り着いて、表の水道で砂を洗い落とす。真夏だから、水も温んでいて気持ちいいぐらいだ。別荘のスタッフが、車庫から三輪バギーを出してくれている。フェルトも、そこにいるので、ついでだから水をかけたら、びっくりして飛び跳ねた。


 
作品名:こらぼでほすと 桃色子猫 作家名:篠義