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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 その5

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「そこで、だ。風間殿」

「ぬ?」

「風間殿の力になりたいと思っているのだが、どうだろうか?」

「どういう意味で?」

「そのままの意味だ。私が、風間殿が力について理解出来るように協力する。それだけのことだ」

「……」

「いやそう怪しまないでくれ。純粋に、手助けしたいだけだ」

 ……藍の言葉にはきっと嘘はない。お人好しな性格をしている妖狐。
 だが、九尾の狐と言う妖孤を見ると、大昔のことを思い出す。詳しくは覚えてなんかない。一体何百年何千年と前だったか、外の世界の……確か中国だったか? その辺りに位置していた一つの帝国。それが、滅ぼされたことを。いや、もっと別の国だったか? いやそもそも妖孤だったか?

「……」

 そもそもが、藍は間違っている。
 俺はまだ未覚醒者だが、藍は覚醒していると決め付けている。出せるはずもない力を、そうほいほい出せるものか。

「いや、悪いが藍。これは俺自身の問題だからな。他人の力を借りるわけにはいかんよ」

「だが、力が使えないというのは、この先幻想郷で生きるには厳しいと思うのだが」

「大丈夫さ。だからこそ、こうして剣術の修業をしているのだ」

「まぁ、風間殿がそこまで言うのなら、無理にとは言わないが。だけど、私は何時でも力になるからな。困ったことが有ったら、頼ってくれ」

「その言葉、忘れないでくれよ。何時かそんな時が来たら、甘えさせてもらうからな」

「忘れないさ」

 本当に、お人好しな妖怪だな。妖怪は誰しも身勝手に生きるモノだと思っていたが、そんなことは無いみたいだな。それとも、何か企んでいるのか……。だとしたら、俺に力を与えようとする利点が解らんな。ただ単に恩を売ろうと言うのか、親切なのか、情報を得ようとしているのか。
 藍は、八雲紫の式神と言うのを忘れてはならない。八雲紫は執拗に俺の正体を知りたがった。藍を通じて、俺の正体を暴こうとでもしているのやもしれない。
 藍は無自覚のままで。
 とは言っても、あくまでも可能性の一つ。
 今は、藍を信用して、ただの親切として受け取ろうじゃないか。親切を疑うなんて、人として信用を失うものだしな。
作品名:東方無風伝 その5 作家名:国城 龍耶