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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 その5

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「霊夢が以前言っていたな、そんなこと。俺は幻想郷なぞ、こちらに来て初めて知ったよ」

 今の状態は、と心の中で付けたす。
 こうして八雲紫を見ていると思い出す。あの時、幻想郷が創られる様を。
 元より幻想郷とは、ただの山の中の人里のことを現していた。山奥故に、外とは孤立した地上の孤島。其処ならば、世界から消えても問題ないと、妖怪達は判断し、あの大結界を張り巡らせ隔離した。そうして幻想郷は創られた。
 それが今や、こんなにも広く栄えた世界になるとは。それもそうだろう。あれからどのくらいの時間が経ったことか。
 八雲紫と眼が合う。その眼が細められる。
 観察されているな。俺の正体を見極めようとしているのだ。無駄なのに。

「貴方は一体何者かしら?」

「人間と答えた筈だが」

「人間なら、解るの」

 気配察知。生きているモノの気配を肌で感じ取る技術。これに長けたモノは、その気配だけで森の中に蟲が何匹いるか把握することが出来たり、また気配を掴めば相手がどんな人間か、何を考えているか解る。
 八雲紫は長く生き、様々なモノと接触した。故に気配だけで人間か妖怪か感じ取れるのだ。
 だが、八雲紫は、気配では俺の正体が解らないと言っているのだ。

「肉体は人間の筈。でも、魂が異なっている。バランスが整っていないのよ」

 流石八雲紫。其処まで解ってしまうのか。
人間と言う小さな器に、俺の魂は大き過ぎる存在なのだ。そんなことくらいは自覚しているさ。それでも、この器に大きな魂を入れる事は可能なのだ。現に、それが成功しているから俺は此処にいる。

「貴方は本来存在しない筈」

 魂と肉体のバランスが釣り合わないのなら、どちらかが滅びるのだ。肉体が大きければ、魂を潰し、魂が大きければ、肉体は割れる。
 俺の場合は、後者が起きるのが自然なのだ。だから、俺は今もまだ存在していることが八雲紫にとって不思議なのだ。

「簡単なことだ」

「……」

「魂が大きいのなら、魂を削ればいい。肉体が大きいのなら、器を小さいものに変えればいい」

「貴方は、人間の身体に乗り移った魂だけの存在? いえ、それでも死んでおかしくない」

「六十点。もう二押しくらいだな」

 六十点は言い過ぎたかな。実際のところは八十点と言う点数でもいいくらいだろう。
作品名:東方無風伝 その5 作家名:国城 龍耶