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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 その5

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「ああ、またヒントを与えてしまったな。もうこれ以上与えるつもりが無かったのだが。やはり、お前さんと話すのは楽しいな。つい要らんことを話してしまう」

「私は……過去に貴方と会ったことが有ったかしら」

「有ると思うなら、思い出せ。無いと思うなら、考えろ」

 八雲紫ならば、考えればそのうち答えは出るだろう。まぁ、八雲紫のことだ。その答えを自ら否定し、また別の間違った答えを探しそうだが。

「貴方については、大体解ったわ」

「そうかい。ま、精々悩んで答えを探すことだ」

「それで、最後の質問よ」

「おや」

 正体はもう良いと言っておいて、まだ何か聞くことが有るのか。

「貴方はこれから、どうするつもりかしら?」

「あー?」

 どうすると言われても、そんな漠然とした質問は答え辛い。もっと内容を固めてくれないと答えようがないと言うものだ。

「何時までも白玉楼に居座るつもりかしら? それとも、人里や、何処か他の場所に居座るとでも?」

「なんだ、俺を幻想郷から追い出したいのか?」

「そんなつもりは無いわよ。幻想郷は全てを受け入れるわ。人間だろうと、妖怪だろうと、生だろうと、死だろうと、喜びだろうが、悲しみだろうが」

「なぁ、八雲紫」

「なによ」

「お前は何を恐れている」

 八雲紫が止まった。

「私が何を恐れていると思って?」

「お前が知らない未知」

「……はっ」

 まるで風船の空気を抜くように八雲紫は笑いだした。腹から大きな声を出し、それこそ、死ぬのではないかと不安になるほど。

「私が! 私があなたを恐れていると! そう言いたいの、風間!」

「その意味も含まれている」

 未知とは恐ろしい。自分が知る常識全てを根底から覆し、それこそ自分が信じた世界が否定されることまでもある。
 人間が『火』を知った時だって、初めは恐れた。熱い、痛い、危険だと恐れた。だが人間は、この火の恐怖を克服し、自分のものとした。
 八雲紫は未知を恐れ、それを遠ざけ、それでいて自分が監視出来る位置に置こうとしているのだ。
作品名:東方無風伝 その5 作家名:国城 龍耶