アンジェラス
「大分前に。聞いたのは最近だけど。」
どんどんうそがつける自分が怖い。つじつまなんか知らん。
まだ不機嫌なフラウをみてると明日来ると言う親の反応が…面倒。
なんともいえない顔をしてるセイラさんに後は任せてハロの塗装をするからと逃げ帰った。夕食を皆で一緒にとかいう話なので夕方ホテルに行くまでに仕上げよう。明日の事は明日考えよ…。
部屋にこもって窓を開けて吹き付け終わると知らぬ間に暗くなっていて流石にお腹が空いてきた。そのままで外に出ると匂うので着替えて食堂に向かう。
遅くなるとそんなに種類が無いのでカレーで良いや。隅っこで食べようとするとブライトが手を振ってる。一緒にカイさんがいる。
「よぉ。賭けは俺の勝ちだな。」
「なに賭けてるんです。」
「食事に来るかどうかだ。これで一杯奢ってもらえる。」
「おれにも飲ませてください…」そんなことが賭けの材料になるって…。なんか情けない
「こいつの荷物には必ず簡易食品が入っているんだぞ。」
「丁度切がよかったんで食べに来たんだよ。」
「なにやってこもっていたんだ?」
「ハロの塗装。明日フラウにあげようと思って。」
「郵便着ていたぞ。」
「え?」
「俺が預かっている。ほら。」封筒を貰う。
「食べてからくれれば良かったのに。」
「全部食べろ。」カイさんがニヤニヤしてコーヒー飲んでる。
「すっかりお父さんだな。」二人でムッとしまた笑われた。
せっせと食べて水飲んでから封筒を開ける。
「中 見た?」
「いや。硬いものが入っているな。」カードキー。
「呼び出しか…。」
「他に何か入っているか?」
「メモが一枚。」15時。
「こんなもんで来ると思ってるのかな…。」露骨に怪しい。
「さて、どうしよう…」
「1回目は無視すると言う手もあるが。」駆け引きは苦手だ。
「直接連絡来るまで放って置け。指定されて無いからわからなかったと言えば良い。」
「時間無いけど良いのかな。」
「何も向こうのペースで動く必要は無い。少し焦らせとけ。」
「その方が隙ができる。」
「こんな呼び出しするんだからすでにすきだらけなんじゃないのか。どんな人?」
「腕は悪くないが偏屈らしい。休みの日は部屋にこもって出てこないそうだ。子供を見た人はいない。」
「いるかな…」
「さあな。気になるんだろ。」
「うん。」
「今後のことを考えたらはっきりさせておいたほうが良い。」
手の中で持て余してたキーを取られる。
「これは借りるぞ。ちょっと調べてみる。」じゃまたな。と行ってしまった。
「いいのかな…。」
「もちは餅屋だ。」
「そうなるとおれのやることが無い。」当事者なのに。
「今日の昼間うろついていただけでも成果があった。手紙が来ただろ。」
「関係ないんじゃないか?近いうちに居なくなるからだろ。」
「バックがなきゃ問題ない。」
「こっちは問題だらけだぞ。親は来る。フラウには睨まれる。」
「ああ…。」
「言う事それだけ?」
「しっかりな。」何となく睨む。溜息しか出ない。
「明日夕方まで好きにしていいかな。」
「出かけるのか?」
「まさか。ハロを持ってくまでいじり倒そうかと。精度の良いセンサとか組み込みまくる。」
煙幕とかしこもうかな…。食器を下げて酒を買って部屋に戻る。飲みながらやろう。もう自棄だ。
徹夜で仕上げて朝ごはん抜き昼まで寝ててボケた頭で食堂に行く。そろそろ食事が終わってしまうから何かお腹に入れないと。シャワーはその後でいいや…。
もう一個作ろうかな…。材料…。標準サイズじゃなくてキングサイズがあったような…。パーティか何かで当たったんだよな。荷物整理したときに見つけて出るときに残してこうと思ったんだっけ。
「手が止まっているぞ。」
「うん。」眠い…。
「寝るか食べるかどちらかにしろ。」
「うん。」大あくび…。
「寝ながら食べる…。」
「4時には出るぞ。」
「迎えに行かないの?」
「書類が多くてな。猫の手も借りたい。」自分を指差すと「今日のお前は猫以下だ。」
反論できないけどスプーンを銜えてむつとした。
「コーヒー飲むか?」
「うん。」待ってる間にまた寝てしまい頭にお盆を載せられる。
「食べ終わったのは良いとしてそんなんで大丈夫か。」あくびしながら
「元気良すぎると切れるかも…。」と言うと
「寝不足で切れるんじゃないのか。」
「普段でも女性とまともにやりあう元気は無いよ。」
また周りに居るのが大人しいとは言いがたいタイプばかりだし。大人しいのは余計苦手。
ブライトは4時に玄関でと執務室に戻っていった。
もう一眠りすると寝過ごすだろうからでかいハロを出しておくか。出来上がった方を何かに入れなきゃ。何かあったかな?
昨日買った服を着て紙袋持って玄関に向かうと何か視線を感じる。たまにあることだから無視する。遅刻する方が怖い。
ブライトの運転でホテルに向かうと後ろを気にしてる。
「誰か付いてきてるのか?」いつもの事だから気にして無いけど。
「食事の邪魔をされるのは困るぞ。」
「特に邪魔された事は無いよ。見張ってるだけ。」
ちょっと気配が違う気がするけど問題ないだろう。たまに悪意をむき出しにするのもいた。
ロビーに着くと和気藹々と寛いでる集団が目に入る。
「何気に目立っているな。」
「うん。どうしてかな。」
個性が強いんだろうか。セイラさんは綺麗だしカイさんはちょっと斜めな感じだ。ミライさんもフラウもお母さんしてる。子供たちは少し緊張気味でうちの母は放心気味かな。まとまりの無い感じが悪目立ち?自分もそこに加わるかと思うと足が止まりそう。
「ミライ。」にっこりわらって立ち上がる。それぞれ挨拶をかわし早めの食事に向かう。何となく残された格好。
「元気そうだね。」
「ええ。おかげさまで。」
挨拶かな嫌味かな?難しい…。あまり一緒にいなかった所為か顔色読むと言う芸当が出来ない。あれは訓練の成果だもんな。
「よく来たね。」
「それ嫌味?」
「いや。驚いただけ。」呆れたのか話が途切れてしまった。
3つに分かれてテーブルに着く。フラウの子と一緒だ。
「今日持ってきたのを後で渡していいかな。」
「ありがとう。昨日はごめんなさい。驚いてしまって。」
「いいよ。驚くの無理ないよ。おれも驚いた。それよりみんな元気かい?」
微妙な話を除けて世間話に突入。
「来たがっていたけど畑を放っておけないから。その代わり写真とって帰る約束なの。」
「畑?」
「自分たちが食べる分と少し売ってるの。この子の為にも少しでも安全なものを食べさせたくて。」残留放射能だのなんだの大変だ。
「かあさんはまだあの家に居るって聞いたけど。」少し睨んで
「ええ。昔なじみが多いから。」
「じゃ安心だ。」
「何かあったらわたしがアムロに連絡します。」
「ありがとう。フラウ。」
どのテーブルもそれなりに良い雰囲気で食事を終えて子供たちは部屋に戻り大人達はバーに移る。途中でトイレに行くと知らない男に銃を突きつけられる。治安が良いなぁ。
「何故来なかった。」
「はい?」なんの話だろう。