二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

永遠に失われしもの 第三章

INDEX|3ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

 「いましたよ!」
 ウィルは、屋根の上から、路地を走るロナルドに告げた。

 「ああ。本当に魂がらみになると、すぐお出でになられますね。」
 セバスチャンは、そう言いながら、迫ってくるウィルの死神の鎌を避ける。

 「それが私たち死神の仕事です。
  盛りのついた獣のように、こんなに喰い漁って、みっともない。」
 ウィルは嫌悪の情を露骨に示す。

 屋根に突き刺さった刃は、煉瓦もろとも粉砕して、
 するするっとまたウィルの手にもどっていく。
 
 すると死角からロナルドの死神の鎌が、くるぶしを掠めていく。
 
 「貴方のデスサイズ(死神の鎌)は、芝刈り機の形をしていませんでしたか?」

 と、ロナルドに尋ねながらも、危ういところで、
 ぎりぎり刃を避けたセバスチャンは、体勢を整えるべく、後方に宙返りをする。

 「セバスチャン・ミカエリス相手に、
  モーター付きのデスサイズは使用禁止になったんスよ。
  修繕費の節約だってんでね。」

 「ほう。それは残念ですね。」
 と言いながら、セバスチャンはウイルとロナルドのデスサイズを交互に避けている。

 「価値のない魂を食い散らかすのに飽きたって言ってた割りに、
 見境なく漁りまくるとは。」

 ウィルの刃が右腕に深々と刺さり、血しぶきと、
 シネマティックレコード(走馬灯劇場)があたりに噴き出す。

 そこにはシエルが悪魔の眼をして、
「お前は永遠に僕の執事だ!」と叫んでるシーンや、
 シエルが喉笛や手に噛み付き血を飲む瞬間が映し出された。

 「扶養家族が出来てしまいましたので。」

とにっこり微笑しながら、
 腕に刺さったデスサイズを引き抜き、
 柄をつかんでそれを持つウイルの体ごと、セバスチャンは投げ飛ばした。

 「大丈夫ですか???せんぱーい。」
とロナルドが駆け寄る間に、
 
 「それでは失礼致します。」というセバスチャンの声だけがこだました。

 「私は大丈夫です。それより・・」
 とウィルは尚も、セバスチャンを追いかけようとするが、
 もう姿はどこにも見えない。

 「今日はこの辺にしときましょうよ。帰って始末書書かないと。
 あー何時に帰れっかな~」

 頭の後ろで腕を組みながら、ロナルドは飄々としている。

 「サトクリフ先輩。セバスちゃんが扶養家族いるって聞いたら、卒倒しちゃうんじゃないかな~。」

 「アレにわざわざ言うことはないでしょう。帰りますよ。ロナルド・ノックス」

 と言って、ウィルは立ち上がると、

 「あなたとあなたの飼い主もろとも、狩ることにしましょう。」
 と独りつぶやいた。