シンはうちの子!
何時の間にか、下肢に腕を伸ばされてさっきの仕返しとばかりに触れられる。
「レイ…」
そっとレイの指がアンダーシャツを捲って直接、胸に触れる。何もしていないのに尖った乳首の先を悪戯するように摘まれて耳と肌が震えた。
「レイ、なあ…レイ」
「…一体、今度は何かな、シンくん」
「あの、あのさー…その」
「?」
言い難そうにごにょごにょと口ごもるシンから、少しだけ顔を離して見下ろすと彼は上目遣いに首を傾げた。
(…可愛い…)
そう思ってうっかり萌えてしまったものの、シンの口から発せられた言葉にレイは暫し絶句しなければならなくなった。
「あの、レイがやるのか?」
………。
「なんだって?」
「だから!レイがやんのか?」
真剣なシンの目に、今度こそレイは魂が撃ち抜かれそうになった。驚愕を通り越して呆れたのだ。
おいおい、何を言うのかお前は。
「シン…まさかとは思うが、お前が俺を抱く気だったのか…?」
「え、…うん」
駄目?とか可愛く呟いて遠慮がちに頷かれたシンの頭を、一発叩いてやりたくなったレイだ。
「駄目!冗談はやめろ。シン、いいか。人には分相応不相応というものがある。だからシンはいい子でレイにしがみ付いてなさい」
思わずギル口調が出てしまったレイだが、これだけは譲るわけにはいかないのだ。
「レイ…横暴だぞ」
「もういいから黙ってろ」
まさしく言うことを聞かない猫を躾ける様に怖い顔で一睨みして、組み敷く腕に力を込めると僅かに脅えたように体が萎縮したシンを抱きしめて、もう一度口付けた。
「ん…」
男にしては柔らかい唇に、レイもシンも互いに夢中になって少しでも深く重ならないものかと何度も角度を変えては貪った。その間にもレイの指はシンの胸で滑るように遊び時折、試すように突起を引っ張ってはシンの反応を楽しむ。
「れ、い…」
「耳、何か感じるのか?」
そういえば…と思い立ち首を伸ばして、はむっと唇で挟むとシンは大仰に震えた。
「ちょっ…レイッ」
「…えらく敏感なんだな」
「知るかっ」
強がってそっぽを向いたシンに苦笑しながら、レイはただ愛撫に集中しようと再び、シンの胸に顔を埋めた。
「あ…っ」
薄っぺらい男の胸のどこにこんなに安らげる何かがあるのかは分からないが、確かにシンの体はレイにとってとても気持ちのいいものだった。
「ん…れ、い…」
ぷくんと勃ち上がった乳首を、何度も何度も舌先で擽って、唇で啄ばむとシンの呼吸が早くなる。普段より随分と肌の体温が上がっている気がした。
「シン、尻尾は?」
「え?…ああっ」
ずっと気になっていた黒く毛並みの良い尻尾をふいに掌で掴んで撫で上げると、びくんと腕の中の体が震えてレイにしがみついてきた。
「シン…?」
「バ、バカッ、なにするんだよ、レイッ」
「随分と…気持ち良さそうだな」
「わかんね…変、からだが全部じんじんする…」
泣きそうになりながら身を捩じらせて、下肢を擦りつけたシンの熱を感じてレイは一瞬、目を丸くした。
「ずっと俺、こんなで…熱くて、わかんない…レイ、どうしよ…」
何というか男としてこれは辛いだろうなと思うとシンが不憫になってきたレイだ。それにいつも強気なシンが耳を伏せて白い頬を真っ赤にして泣きそうな顔をしているなんて、…うっかり可愛いと思ってしまう。ゴホンと一つ咳払いしてレイは真っ直ぐにシンを見つめた。
「…悪かった、ちゃんと…気持ちよくしてやる」
「レイ…」
下肢に直接触れて、水音を立てるとレイの軍服を掴む指にいっそうの力が篭る。
「あ」
「もう少し、脚、ひらけるか?」
「ん…」
自分から恐る恐る開いた脚の間にレイが体を滑り込ませて閉じられないようにする。握られてそのまま軽く擦られただけでもう大変な出来事になってきた。
「ちょ、レイ…レイ…やばいってば…!」
「?」
「どぉしよ…すげ、気持ち、いいよぉ…」
うえっ、と泣き出したシンに小さく笑ってレイは先端を指で引っ掻いた。
「ふあっ、ああっ」
びくん、と震えてレイの軍服に思いっきり吐き出してしまったが、そんなことを気にする余裕もなくシンはぐずぐずと泣いた。
「ひっ…く、あ…あっ」
「シン、シン…」
イッた後の敏感な場所を再び指で苛んで、追い上げるたびに、ぎゅうぎゅうと掴むシンの指の力にレイは不思議なことに心地よささえ感じていた。
濡れた手を奥まった場所にぴたりと沿えて僅かに力を込めると、震えながらシンが瞼を開いた。
「あ…れ、い…」
「しっぽ、可愛いがこうする時は邪魔だな」
小さく笑って、つぷりと挿入する。
「や、ああ、あ…」
途端に甘い悲鳴を漏らした唇を唇で塞いで、初めてとは思えないほど熱く濡れているそこを何度も指で拡げた。
「あ…いた…ぃ」
「嘘言え、こんな濡れて痛いわけないだろ…ほら、奥まで入るぞ」
試しに指で届く一番奥の壁をぐりぐりと押し込んだら、シンは堪らずレイの肩にがぶりと噛み付いた。
「し、シン!」
服の上からだったが、恐らく肩口には歯型がくっきりだろう。
思わず涙が滲むほど痛かった。
「うあ、あ・・・へ、ん…変だ、よっ」
「何がだ、一体」
この後に及んで。
「だって、レイがやらしいし…俺、そんなとこ、弄られて…きもちい…ッ」
拡げた白い内股が薄桃色に染まってピクピクと痙攣している。飲み込めなくなった唾液が唇の端から零れ落ちる。それをレイの舌がぺろりと舐めて、シンはレイの方が猫みたいだとぼやけた頭で思った。
「レ、イ…おれ、も…ぅ」
自分で自分の脚を広げることも、昂ぶっているレイ自身に指を伸ばして触れることも恥ずかしさを感じなかった。ただ、レイが欲しくて、レイの熱を一緒に感じたくて、レイが好きで、俺は猫で…発情してて…でもザフトの赤だし、気持ちよくて…。訳のわからない思考にぐるぐると犯されながらも、シンは自分からレイを求めていた。
「シン…」
こくんと、息を一つ飲み込んでレイはシンの脚を抱える手に力を込めた。完全に理性が飛んで乱れているシンを見て、じわりと熱が集まる。
「もう、挿れるぞ…?」
「うん、う…ん、いれ、て…レイ…レイ!」
何でシンはこんなに可愛くなっているか甚だ疑問に思うが、レイも(推定)十七歳男子なので、今は目先の欲望に集中することにした。ゆっくりと、出来るだけ狭い内部を傷つけないように進むとシンが小さく悲鳴をあげる。
「んあ、あ、あ…ッ」
「シン…シン…シン!」
「レイ!」
一杯に拡がりレイを咥え込んだ場所がひくひくと震える。
「あ…あん…ん…ッ」
シンの堪えきれなくなった喘ぎ声を聞きながら、もう後は、訳が分からなかった。ただシンの中が気持ちよくて、熱くて。ひたすら粘膜を擦り突き上げながら、ゆらゆらと揺れる黒い尻尾を無理やりにぐっと掴んで引っ張ると、足の腱が引き攣れるかと思うほどぴくぴくと震えていた。
「あ、ひ…ッ、れ、いた…ッ」
「シン…ッ」
きゅうきゅうと奥が締まってレイを刺激する。再び勃ち上がったシン自身からも、とろとろと白濁が零れ落ちた。
シンも感じているのだと思うと、興奮した。尻尾を掴む手に力を込めて、何度も角度を変えて抉るように打ち付ける。
「やあ、ああああっ」