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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝その6

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 一歩後ろに下がって鉈を避けた際に、足を引っ掛け転ばそうとしてみるが、それも通じない。まるで棒のように足が動かず、逆にこちらが転びそうになってしまう。
 攻撃は一切通じないともなれば、残る手段は限られる。向こうは戦闘に関しては素人のようだから、逃げようと思えば簡単に逃げられるだろう。だが、やられっぱなしと言うのは非常に悔しいもので。取り敢えず、此方が出来る攻撃手段を全て用いてみることとする。
 とは言っても、殆どの攻撃はもう通じていない事が解っている。
 振られた鉈を、刀の腹で受け止めてみる。

「……ふむ」

 刀響く重い衝撃。此方の攻撃は掻き消されるのならば、向こうの攻撃はどうなのかと思えば、やはり衝撃はあるもので。
 一方的な攻撃を可能とする能力。それが彼女の能力のようだ。

「もうネタ切れなのか、風間」

「あー、困ったなー。もう手段なんて無いなー。なぁ、どうやったらあんたに攻撃出来る」

「秘密だ。邪魔なあんたには、黙って死んでもらおうよ」

「ネタ切れついでに、お前さんの能力のネタを教えてもらえないか?」

「私は無駄なことはしたくない」

「さいですか」

 どうせ俺は死ぬのだから、説明したって無駄、と。生憎と俺はまだまだ死ぬ気はない。
 鉈を屈んで避けて、隙だらけの腹に蹴りを入れる。
 本来ならば、仰け反って喉が詰まる様に息を吐き、涎を垂らしてもいいようなものだが、女はノーリアクションで鉈を振る。
 まだ試していない攻撃はあるが、あまり、この能力は好かない。嫌いなあいつからの借り物だから。でも、贅沢は言っていられない。
 風を起こす。力で好き勝手に宙を舞う風。
 生み出された突風は彼女を押し退ける。

「なっ……!」

 驚きの声。
 彼女の足は、掬われるように地面を離れる。身体は照準をずらし飛ばされていく。
 人間一人を吹き飛ばすほどの強い風は、人間一人を運び、背後の樹に叩きつけた。

「やるじゃないか」

 称賛の言葉を吐いた。それは誰に向けてか。俺自身か、借りたあいつに向けてか、この風そのものに向けてか。
 活路は見出せた。
作品名:東方無風伝その6 作家名:国城 龍耶