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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝その6

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「げほっ」

 と咳込む女。思っていたより衝撃は強く、涎が出たのか口元を拭う。

「……何をした」

「悪い、嘘を吐いた。ネタ切れじゃねぇや」

「何をした!」

「今起きたことをしたまで」

「何をしたと聞いているんだ!」

 激昂する女。おぉ怖い怖いと調子に乗るのもいい加減にして、刀をしまう。能力しか効かないのなら、刀は出していても邪魔になるだけだからな。
 地面を蹴り、距離を詰める女。どうやら先程までの遊びは止めて、本気を出したようで足が速い。対応に遅れるくらいに。
 女が振った鉈。思っていた以上に早く距離を詰められた為に生じる焦りで、避ける事は叶わない。ので、反射で腕を払う。横薙ぎに振られた鉈を持つ手を、下から跳ね上げるように叩いた。
 鉈は頭上を振り抜き去る。
 今がチャンスと言わんばかりに蹴りを入れてみるが、残念ながらそれは今まで通りにノーダメージ。危ないので下がって距離を取ろうとすれば、女は詰めて鉈を振う。

「なぁ、今のはなんで、あんたの腕を弾けたんだ?」

「黙れ!」

 何か特殊な条件があったとは思えない。推測にしか過ぎないが、彼女の精神状態にあったのではないだろうか。怒りで我を忘れ、能力を発動させるのを忘れた、とか。
 それならば、色々と試してみる価値はある。

「やっぱり、あんたの能力はしょぼいもんだな。無敵かと思ったら穴があるじゃないか」

「……」

 女が犬歯を剥きだす。どうやらボルテージが上がってきているようで、振られる鉈が大雑把なものになってきた。
 歯軋り音まで聞こえてくる。どれ、もう一押ししてみるか。

「どうしたどうした。さっきから俺に掠りもしていないぞ? そんな調子じゃ百年経っても俺を殺せないぞ」

「黙れぇ!」

 大きく振った鉈。
 大きく後ろに跳び避ける。

「なんだ、殺すなんて、所詮口だけか」

 荒々しく肩で息をする女。憎らしげに俺を見つめる瞳には強い殺気が籠っている。

「お前は……なんだ……」

「俺は俺だ。風間と名乗る自称人間」

「……もういい、黙れ。耳障りだ」

 女は頭を冷やしたようで、言葉の荒々しさと瞳の殺気が消え去った。もう挑発しても意味はないだろう。

「私は、お前には勝てない」

 女は悟ったように言う。

「だから、逃げさせてもらう」

 女が握るスペルカードが発動された。
作品名:東方無風伝その6 作家名:国城 龍耶