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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝その6

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 その際に彼女の腕を見たが、右も左もどちらも傷ついていなかった。切り傷一つついていてもおかしくないのに。
 刀を構え、対峙する。今は武器がある。先程のように避けるだけではなく、立ち向かえる。
 刀を持つ両腕を上げ、切っ先を相手に向けたまま眼の高さにまで刀を持っていく。
 霞の構え。相手の眼を潰し無力化する為の構えだ。
 先手を討つのは風間。一歩を踏み出し、勢いよく刀を突き出した。それは的確に彼女の眼を抉ろうと進んだ。
 彼女はそれを、眼を隠すように手で覆って防ごうとした。それでも構わない。刀は手を貫通して眼を潰す。それでなくても、手を殺すことは出来る。
 刀は彼の目論見通りに彼女の手を突き破り、眼を潰す。筈だった。

「――!」

 刀は固い壁にでも突き刺さったかのように、彼女の手で止められた。
 彼女の掌で止められた刀。それでも彼は力を込め、せめて手だけでも殺そうとするが、刀は動かない。

「風間。無駄な抵抗は止めよう。楽に殺してやるから」

 そんなこと言われて、素直に殺されてたまるか。兎に角、彼は刀を引き、距離を取る。
 一体何が起きたのか、彼には理解出来ない。手応え自体が無かった。それでも刀は確かに彼女の手に触れていた。
 動かない彼女に対し、彼は斬撃を浴びせるが、彼女には傷一つ付かなかった。
 確かに、刀は彼女に触れている。それなのに、まるで力が抜けるように彼女を斬る事が出来ないのだ。
 彼女が動かないのは余裕からくるものなのだろう。いかなる攻撃も、自分には意味がないという、絶対の自信。

「……それがお前の能力か?」

「さぁ、どうだろう。いえ、確かに私の能力ね。でも、詳しく教える事は出来ないわ」

 それは、その能力にネタがあるということ。そのネタさえ解れば、彼女を殺せるということだろう。
 女の振う鉈。相も変わらず避けるという行為しか許されないのがもどかしい。
 剣が駄目ならと思い、隙を見て殴ってみてもダメージは無いようで。
 防戦一方。
 さて、どうしたものかと考える。
作品名:東方無風伝その6 作家名:国城 龍耶