二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

東方無風伝その6

INDEX|14ページ/31ページ|

次のページ前のページ
 

 目の前に聳える大きな門。今は大きく開かれて、好き勝手に人間が往ったり来たりと繰り返されている。一応、門番らしい男が数人いるが、彼等は見ているだけで何もしない。武器を持ち、退屈そうに辺りの人々を見ているだけだ。一見すればぼんくらに見えるが、それ程平和と言うことだろう。良い事に違いない。
 少し様子を見てみると、人里であるに関わらずに妖怪も門を通っているのに気付く。門番は彼等に一瞥くれるだけで、特に何も言わずに通している。
 此処は人間の為の里では無かったのか? 人里と聞いて、てっきり人間だけを受け入れるものだと思っていたが、どうやら違う様子だ。
 往来は自由のようだ。だが、それでは門の意味はなんだろうか。
 人間を襲う妖怪を中に入れて、まるで此処は、妖怪の為の里のようだ。
 いや、それが有り得るか? 元々幻想郷自体が妖怪の為の世界。そんな場所に妖怪の居場所を作る必要はない。
 妖怪を通す理由に考えられるのは、二つ。
 一つは、ここは妖怪の餌場。
 一つは、ここでは妖怪は暴れられない理由がある。
 前者、だとも思うが、此処から門の中を窺えば後者が正しいような気がしてくる。
 妖怪は親しげに人間と話し、人間は快闊に妖怪を店に誘う。妖怪はそれを楽しんでいるようだ。

「なぁ」

「あー?」

「どうして人里に妖怪が? 此処は人間の為の里では?」

 こいつが俺を妖怪の元に導くとは思えない。たった一つきりの玩具を壊すような真似はしないはずだから。

「以前、誰かがお前さんに言わなかったか? この幻想郷は、人間と妖怪が共存する世界だと」

 ……確か魔理沙だったか、言っていたような気がする。
 それが、答えだと言うのか。
 それでは俺の眼に映る、人間と笑いながら喋る妖怪は、決して人間を襲わず、寧ろ人間に近い妖怪だと言うのだろうか。この人里にいる全ての妖怪が? 眼に映るだけで十匹近くはいそうだと言うのに?

「人里は幻想郷で最も栄えた街だ。喧騒を楽しむ為に妖怪が訪れるだけだ。なに、心配はいらない。妖怪は人里内では悪さは出来ない」

「何故言いきれる」

「そういう契約さ」

 契約。人間と妖怪の間で契約が交わされているというのか。
作品名:東方無風伝その6 作家名:国城 龍耶