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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝その6

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「幻想郷は妖怪の為の世界だ。それは解るだろう」

 無論解っている。幻想郷は妖怪の妖怪による妖怪の為の世界。そう言っても良い世界だから。

「だからと言って、妖怪が無暗に人間を喰えば、幻想郷の人間は減る」

「その結果、食料を失い妖怪が滅びる、か。まるで養豚場だな」

「そう言うなよ。人里は人間を保護していると言って欲しいな」

「変わらないだろう。どちらにせよ、彼等はこの外には出られない」

「出られるとも。お前さんの眼はガラス玉か? 現に人間が行ったり来たりとしているじゃないか」

「保護も妖怪の下でだろうが」

「風間、お前さん人間嫌いにでもなったのか?」

「……」

 あいつの言葉で気付く。
 そう言えば俺は先程から人間を否定する言葉ばかり述べている。どうやらあの女にでも影響されたのか、人間嫌いになるところだった。
 それでも、それに気付いたところで腑に落ちないことはある。

「風間、お前はそう言うがな、この人里の人間だって一生懸命に生きているんだぞ」

「……」

「食料を得るには人里の外の獣を狩る。それには逆に妖怪に狩られる危険性がある」

「狩るか狩られるか」

「危険な野獣が人里を襲うとする時だってある」

「だからこその門番か?」

「人がいなくなれば、自警団の連中が危険な里の外を一生懸命に探しまわる。たった一人の人間の為に」

「そして多くの人間が妖怪に喰われるか?」

「風間、此処の人間は、外の世界の人間よりも人間らしいよ」

 あいつの諭すような口振り。
 あいつは間違っていない。だからと言って自分が間違っているとは思わない。
 ただ、天敵である妖怪に保護されて生きる人間が、少し気に食わなかったと言うだけの話し。あぁ、きっと俺は間違っているのだろうな。いや、感情で人を否定した。それは間違っている。
 間違っていると言うのならば、それじゃ答えは何なのだとも思う。でも、答えなんて初めから解りきっていることで。
 答えなんざ無い。結局のところ、世界は人間の感情で動いているのだから。
 ライト兄弟は空を飛びたいと思ったから飛行機を作った。それと変わらない。
 隔離された世界で、隔離された街を見る。今日も明日もこれまでも、変わらず人と妖怪が往来した街。
 それを見て、やがては観念したように、街に向かい歩き出した。
作品名:東方無風伝その6 作家名:国城 龍耶