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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝その6

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「お疲れ様」

 人形劇が終り、片づけをするアリスにそう声を掛ける。
 その彼女は、俺に一瞥くれただけで、黙々と人形の片づけを続けるだけだった。
 冷たい奴だとは思っていたが、それだけだと寂しいものだね。

「はい」

 呆れていれば、アリスは俺に手を差し伸べてくる。その手には飴が乗せられている。

「それはチケット代わりよ。貴方は買っていなかったでしょう?」

「へぇ、飴で代金を取っていたわけか」

 金を取り出し、飴の代わりにアリスの手に乗せる。
 何十年前だかの日本みたいだな。七、八十年前だったか? あれは人形劇ではなく紙芝居が主流だったが。

「久し振りね、風間」

「大体一カ月振りだな、アリス」

 相も変わらず目線は人形に注がれているが、意外にもアリスは俺の名を呼んだ。アリスのことだから、俺のことなんて真っ白に忘れているのものだと思っていたのだが。

「意外だな、アリスが俺を覚えているなんて」

「私も吃驚よ。きっと魔理沙がうちに来ると、時々貴方のことを話題にしていたわ。だからかしら」

「へぇ」

 あの魔理沙が俺のことを、ねぇ。……良い事は言ってないだろうな、絶対。

「俺の事はなんと」

「一丁前に刀なんて担いでも、全く似合っていないとか、あんな修業しても、空から弾幕を撃てば圧勝とか、あんな貧弱な身体でも鍛えても、意味なんかないとかよ。大体は貴方の想像通りだと思うわ」

「……そうかい」

 流石アリス、大当たりだぜ。少しだけ自信ってものが砕けそうになったが、アリスさんのお陰で立ち直れそうだぜ。なんて思ってないですとも。ええ初めから砕けそうになんてなっていませんとも。

「何泣いているのよ」

「……雨だ」

 おかしいな、一体何時の間に雨が降ってきたんだ。全く、今日の雨はなんだかしょっぱいぜ。へへっ。

「用が無いなら、もう帰ってもいいかしら」

「ああ、ただ挨拶しに来ただけだから。御気にせず」

「そう」

 片付けは終ったようで、人形を詰めたバッグを片手に立ち上がるアリス。
 さて、では俺も歩き出すとしましょうか、紅魔館に向けて。
作品名:東方無風伝その6 作家名:国城 龍耶