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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝その6

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 それからは特に問題らしい問題なんて無く、無事に人里の外まで出る事が出来た。
 人里から生まれた道に沿って歩いて行けば、そのうち湖に着く。その湖のすぐ近くに紅魔館は有るんだそうだ。
 湖と聞くと、頭の中の記憶が掘り返される。つい一カ月前のこと。俺が幻想郷に落ちて着いたのは湖、危うく溺れて死にそうになった。それどころかそのすぐ後には氷を操る妖精に襲われ殺されかけ、更には寒さで凍死する寸前だった。
 運が良かったと心底思う。
 チルノ達から逃げきれたのも、魔理沙が倒れていた俺を見つけたのも、全部運が良かったとしか言いようがない。
 そんな苦い過去を思い出しつつ道を歩けば、眼の前にちょっと引っ掛かるものがあった。

「……どっちだ」

 道が二つに分かれていた。片方は東に続く道と、北に向かう広い道。

「どっちだろうな」

「どっちでしょうか」

「さぁどっち?」

「ふざけてないで教えやがれ」

 こう言う時の助け船、のはずなのだが、相も変わらずふざけた態度。

「偶には自分で考えて判断したらどうだ?」

「情報が少ない。まだ判断出来るほど集まっておらん」

 はっきり言って、俺が持つ紅魔館の情報は少ないのだ。俺が幻想郷に来たばかりの頃、霊夢達が言っていた吸血鬼。西行寺が言っていた、悪魔の住む館。拳法の達人がいる。湖の近くに構えている。その程度にしか過ぎない。

「紅魔館は不吉な噂が絶えない。だから、人々からは忌み嫌われていたりする。それが現すのは――――」

「こっちか」

 と、あいつの言葉を最後まで聞く事無く、狭い東に続く道を俺は選ぶ。

「なんだよ、人の話は最後まで聞けって教わらなかったのか?」

「それが現すのは、人の通りが少ないと言う事。即ち、道の狭い東が正解」

「……」

 悔しいのだろうか、だんまりを決め込むあいつ。
 ふはは、良い気味だ。偶にはこう言うのも良かろう。一廉気分に浸るのも悪くなかろう。

「後悔するぞ」

 そんな負け惜しみが聞こえたが、そんなものは無視して東へと歩みを進ませる。
 フラグが立っているとは、この時の俺は思いもしなかったのだった。
作品名:東方無風伝その6 作家名:国城 龍耶