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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝その6

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 上がれば其処には、見覚えのある大きな鳥居。頭が鳥居と水平の位置に来るまで上れば、漸く鳥居の向こう側、博霊神社の全貌を拝む事が出来る。
 一カ月の博霊神社。相も変わらず寂れた場所だ。
 誰も居ない。いても巫女である霊夢と、同居している萃香くらいなものだろうと思っていたが、意外にも他に人はいた。
 賽銭箱に座り酒を呑む呑んだくれの鬼っ子と、箒を手に持った守銭奴な巫女と、そしてカメラを手に持った見知らぬ少女がいた。

「あら風間、久しぶりね」

 俺に気付いた霊夢がそう声を掛ける。その声に釣られて、カメラを持った少女が振りむき俺に気付く。

「あやややや。この神社に参拝客とは。これはスクープの予感」

 等と言ってカメラを構える。

「あんたが好きな外来人よ」

「あや?」

 首を傾げる少女。それは困りましたねぇ、との呟き。実際その表情は困っているようだった。

「何が困ったって言うのよ」

「いえ、もう外来人はいらないんですよ」

 少女は言う。

「外来人は幻想郷に余る程に増えました。初めのうちは、それはスクープですよ。そりゃ私だって喜び勇んで取材しますよ。しかし今では外来人の価値は薄い」

 少女はまるで探偵の推理でもひけらかすように、わざと大袈裟な身振りを交えて言う。
 両手を広げ、腹を膨らませた野獣のような眼付で。

「貴方は出遅れたのですよ。外来人として。だから、私の取材対象にはなり得ない」

「そうかい」

 と一蹴。そんな俺の態度に少女は一瞬訝しんだ表情を見せるが、直ぐに笑顔に戻る。
 手に持ったカメラに、先程からスクープだの取材だのと。どうやらこの少女はただのパパラッチ娘のようだ。

「あやややや。随分とつまらなさそうな外来人さんですねぇ」

 そう言っときながら、彼女の眼は獲物を見る眼になっている。先程とは一転している。

「悪いな、つまらない人間で。生憎と俺は面白そうなネタなんて一つも持っていないんだ」

「ダウト」

 俺を指差しながら言う少女。人に指を差すんじゃないと言ってやりたいところだが、少女の雰囲気がそうさせない。
 今は、この少女がこの場を支配している。彼女に逆らうことは出来ない。そう思わせる雰囲気だった。
作品名:東方無風伝その6 作家名:国城 龍耶