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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝その6

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「流石は幻想郷と言ったところですかね」

 勿体ぶった口調で言う少女。一体この少女は何を知っていると言うのだろうか。

「貴方のような存在が、まさかこうして現れるとは、一生に一度のチャンスと言うべきか、不幸と言うべきか……」

 それで漸くこの少女が何を言いたいのか理解した。
 この少女は、俺の存在を理解したのだ。俺の本来の形。この肉体の器。存在。
 八雲紫ですら解り得なかったことを、この少女は俺を見ただけで理解していたのだ。

「どうですか、人間になったご感想は」

「……天狗風情が」

「あや? 何か気分でも害することを言いましたかねぇ」

 妖怪である少女は惚けた調子で言う。
 ただの天狗だろうが、力を付けた大天狗であろうが、本来ならば俺の正体なぞ解らないはず。今までのように。
 だがこの少女はどうだ。
 見たところ、力はそれなりにある天狗のようだが、妖怪に変わりは無い。俺の正体は、近い存在でしか解り得ない。その筈だ。

「どうして解った」

「それが気になって仕方が無いようですね。怖いのですか? 自分の正体がバラされるのが」

「そんなこと、どうだっていい。ただ、何故解った気になっただけだ」

「再びダウト。貴方は解りやすい人ですねぇ」

 ダウトと少女は言うが、俺は嘘を言っていない。

「俺は嘘なんて言ってないさ」

「いいえ。それは貴方が無意識に自覚していて、それ故に貴方は認めたくないだけなのですよ」

 少女の黒い瞳に映る黒い男の姿。それを見ると、何だか引き込まれそうで怖くなる。
 黒い瞳は決してブレることなく、真っ直ぐに俺を見つめてくる。彼女は絶対の確信を持っているのだ。
 この少女は、何を何処まで見抜いていると言うのだ。

「貴方は解りやすい人です。こうして少し話しているだけで、貴方が何を考え、何を思い、何をしたいのか、ありありと解ってきます」

「……」

「あのさぁ、文の言う通り、風間が解りやすい男だってのは解るのよ」

 突然、横から口を出すのは今まで黙って傍観していた霊夢。

「風間の正体なんて私には解らないけど、妖怪じゃないんでしょ? だったらそれに問題とかってあるわけ?」

「問題なんてありませんよ。ただ」

「なら其処まで、彼に拘らなくても良いんじゃないの?」

 霊夢の言葉は反論出来るものではない。それを解っていて霊夢は言っているのだ。
作品名:東方無風伝その6 作家名:国城 龍耶