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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝その6

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「申し遅れましたが、私は射命丸文。文々。(ぶんぶんまる)新聞を御贔屓に」

 少女、もとい射命丸はそう言い残して空へと羽ばたき飛んでいたった。
 萃香と射命丸の間にどのような言葉が交わされたかは詳しくは知らないが、射命丸は大人しく引き下がった。

「まぁ、影から見られる事くらいはあるかもしれないから、これからは気を付けるんだねぇ」

 相も変わらない間延びした調子で言う萃香。

「それでこそ記者と言うものだろう」

「自分が付け狙われると言うのに、暢気なもんだねぇ」

 半ば感心半ば呆れ。
 そんな調子で言う萃香だが、俺のそんな態度がどこか面白いようで声が少し弾んでいた。 

「解っていると思うけど」

「これからも、射命丸のような奴は現れる」

「その通りさ。あんたは雑魚から見ればただの人間さ」

 萃香の言葉に霊夢が顔をしかめる。
 彼女は俺が人間だとしか思わなかった。自分が雑魚と言われて良い気持ちはしないだろう。

「だけど、私みたいな強い力を持ったモノから見れば、脅威さ」

「鬼が出るか蛇が出るか。さて俺はどちらでしょうか」

「鬼ならば、鬼である私はその手を取るさ」

「蛇が出たら?」

「力づくで飼い馴らす」

「……」

「そうだろう?」

 腹から込み上げる笑いを一気に吐き出す。
 愉快痛快爽快欣快。
 鬼らしい傲慢な考え方だ。

「結局のところ、萃香。お前も射命丸と変わらんな」

「私も友人に頼まれてねぇ。あんたの正体は私にも気になるものだし」

「その友人とは一体誰だい」

「あんたがついこの間会った奴さ」

「八雲紫! あいつのことだな」

 この間会った人物で俺の正体を知りたがったのは八雲紫くらいなもんだ。
 屋台のあの女、とも思ったがあいつは力不足だ。俺の正体に違和感なんざ持たなかっただろう。

「良いだろう。精々俺を監視すると良い! そして答えを推測してみろ! その結果俺を利用できるか悩むがいい!」

 まるで演説でもするかのようにこの場にいないものへと向けて叫ぶ。 
 その声があいつの元に届いているかなんて知る由も無い。それでも良い。
 ただこの声が、萃香を通じてあいつに届くのならば、萃香が伝えなくても、あいつが聞いていなかろうが良い。
 ただその声は風に響く。
作品名:東方無風伝その6 作家名:国城 龍耶