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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝その6

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 以前これと出会った時のことを思い出す。確か、白玉楼へと魔理沙と共に向かう途中にこいつと出くわした。
 あの時は魔理沙が退治してくれたが、今は俺一人しかいない。
 ……無様だな。こんな時に他人を当てにしようとしている。自嘲気味に小さな笑いが零れた。
 大丈夫だ。こういう時の為に修業をしてきた。大丈夫と言い聞かせて、この闇で作られた球体の中の少女へと呼び掛ける。

「ルーミアと言ったか。久方振りだな」

「……どうして私のことを知っているの?」

 その言葉と同時に、彼女を纏っていた闇が消え失せる。
 そうして現れるのは、以前にも見た覚えのある金髪に紅いリボンを結んだ少女。以前同様に、何故か両腕を伸ばしている。

「おや、俺のことは覚えていないのか。お兄さん、ちょっと残念だよ」

 まぁ、無理もない。あの時俺は魔理沙の箒にぶら下がっていただけだから。

「貴方に以前合った事があるかなんて、あまり関係ないことね」

「そうだな、妖怪からしてみれば、人間なんて下らない存在」

 どうせ直ぐに死ぬんだから。人間と妖怪では生死の差が大き過ぎる。だから、長く生きる妖怪は変化し続ける人間のことなんて、到底憶えていらない。

「で、妖怪のお前は目の前の人間をどうする気で?」

「勿論、食べる気よ。その為に此処まで歩いてきたのだから」

 どうして俺は解りきったことを尋ねたのだろうな。人間みたいに、無意味なことを。きっと人間に近づき過ぎた影響かな。
この妖怪は人間である俺を喰おうと言うのだ。それならそれでもいい。
 俺は生きる為に、刀を抜くだけの事。

「貴方は、食べてもいい人間?」

 その言葉を切っ掛けに、少女の周りを弾幕が囲う。月光のように淡い光を放つ弾幕に包まれた少女は、まるで十字架に張り付けられた聖職者のようだ。

「お前は、斬ってもいい妖怪?」

 その言葉を切っ掛けに、鬼灯の切っ先はルーミアに向けられる。自分のイメージでは、巨大な化物に挑む武人。実際はただ強がって威嚇するだけの子猫のようだろうな。
作品名:東方無風伝その6 作家名:国城 龍耶