二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

永遠に失われしもの 第4章

INDEX|4ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

 セバスチャンは、シエルの爪の手入れをしながら、頭をあげシエルを見つめる。

 シエルはその大きな
 翡翠色の眼をさらに見開いて、
 じっとセバスチャンを見つめ、
 意を決したように話し始めた。

 「僕は・・
  絶対に人間は・・

  人の魂は喰らわない。

  僕は決めたんだ」

 セバスチャンは深い嘆息をもらして
、憂えた表情を浮かべている。

 「ぼっちゃん」

 「分かってる。
  飢えがどんなに僕を蝕むかは・・

  そして一回でもそれを口にしたら、
  その味を求めて、
  僕が狩り続けるだろうことも・・・

  そのうち、
  さらなる美味な魂を求めて、
  彷徨い続けるだろう。

  僕は見てきた・・
  悪魔が人間の魂欲しさに、
  人間に翻弄されてる無様な姿を!」

 「ええ、ぼっちゃん。

  まず高慢で不器用な貴方が、
  人間と契約を結び、
  相手に従属し、
  その欲望を満足させたり、

  人間を己が目的のために誘惑できる、
  とは私も考えておりませんでした」

 蛇口からもれる最後の水の一滴が、
 バスタブの底に音を立てて落ちた。

 「僕はもう二度と誰とも契約なぞしない。

  この身に残る獣の烙印と、
  お前との契約印以外、
  ほかのどんな印も、
  我が身に刻ませたりはしない。
 
  ・・・・・・・

  だから・・・差し出せ、お前を!

  僕を生き永らえさせるために・・
  その最期のときまで」

 シエルの瞳の契約印が
 鮮やかに光り始める。


 「私だけで満足されるおつもりですか?」
 
 「お前だけで十分だ」


 セバスチャンはヤスリを台におき、
 シエルの膝元に近づいて、
 胸に手を添えひざまずき、頭を垂れた。

 「Yes¸ my lord.

--この身は全てあなたのもの」