永遠に失われしもの 第4章
「わかりました。」
セバスチャンは表情を一変させて答えた。
能面のようなその表情からは、
気持ちは全く汲み取れない。
「では、私はその時が来るまで
貴方を守り、手足になりましょう」
--人間だけに許された特権
不老不死である
神も悪魔も天使には
自らを殺めて、その命を絶つ権利は
与えられてはいない
たとえ悪魔を殺せる剣であっても
自らを傷つけることさえ
叶わない
貴方は自らに刃を向けて
その結果に絶望することでしょう
そしてその絶望の底にある貴方の
私が貫きましょう
貴方は私の腕の中で
事切れていく
あなたに仕えるものとして
貴方の目的を果たすため
最期まであなたの死を
見届けましょう--
「どうぞ、ぼっちゃん」
というと、セバスチャンはタイを緩めた。
作品名:永遠に失われしもの 第4章 作家名:くろ