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永遠に失われしもの 第4章

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「では今後は、喰われる度に
  あなたのかつての麗しい女装姿でも
  想像することに致しましょう」

 (私の駒鳥)
 身の毛もよだつ、子爵の言葉が頭をよぎり
 思わず、飛び上がらんばかりに
 身体を離すシエル。
 
 「やめろ!!僕をお前の想像中で
  汚すな!」


 笑いを喉の奥に抑えながら、漆黒の悪魔は
 尚もシエルを言葉でいたぶり続ける。

 「ああ、でもぼっちゃんは
  私を女性として想像しないでくださいね
  反吐が出ます」

 「もういい・・・服を着ろ!」

 「かしこまりました」

 服を整えて、さっと寝台から降り立った
 セバスチャンは、純白の絹のシーツに
 小さな赤い血のしみを見つけて、
 眉を顰めた。

 「せっかく、
  なるべく身体を動かないようにして
  汚さないように腐心していましたのに
 
  お取替えしましょう」
 
 と言って手早く
 シーツを外そうとするセバスチャンを
 シエルが制する。

 「そのままにしとけ」

 潔癖症のセバスチャンが嫌がることは
 重々承知で、そう命じてシエルは意地悪く
 微笑した。

 「言葉でいじめ過ぎた仕返し
  --ですかね?

  貴方らしい地味な嫌がらせですね」

 と不快な表情を浮かべて
 セバスチャンは大げさにため息をつく。

 「ふん・・何とでも言え!
  どうせまたすぐ汚れる」

 はーっとまた大きなセバスチャンのため息
 とシエルの喉の奥に閉じ込めたような
 笑い声。

 「今お湯をお持ちいたします。
  ぼっちゃんの口の周り、
  まるで幼児が意地汚くチョコレートを
  漁ったような状態ですので」

 「ちッ!」
 シエルの舌打ちが部屋に響いた。