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銀新ログ詰め合わせ

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 ガサリ、と音がして。振り向けば。


「あ、アンタ一体何やってんスか!!?」
「んァ?見て分かんだろーがよ。糖分摂取だ、糖分摂取」
「そういう事言ってるんじゃないんです!アンタ、それ……ッ!!」
「だァーから、見て分かんだろ。ココアだよココア」
「確かにそれはココアで貰い物でだから元手はタダで、一日一杯なら飲んでも良いって言いましたけど!」
「あーもーうっせぇなあ。ちゃんと守ってんだろうが。一日『いっぱい』」
「『いっぱい』の意味が違うわボケェーーーーッ!!!!」

 目に映ったのは袋を片手に、そのまま粉をかきこむ男の姿。
 本来ココアは飲料で、だから「食べる」ものではないと記憶しているのだが。
 余りの事に呆然と、けれどああここでは常識は通じないんだったと、頭の片隅で己自身を嘲笑う自分を垣間見た。
 嘆く自分を他所に、何時までもココアの粉を貪る男から漸く袋を奪い取り、どうかあの手の付けられない程凶暴な、けれど心の優しい女の子が真似をしないようにと、心の底から必死に願った。


-------

百四十九訓のその後の話。


「………………あの、しんぱちくん」
「………」
「しんぱちくーん?」
「……何ですか」
「もちっと、優しくしてくんねーかなあ…なんて、ね?」
「………へぇ…」
「あの、目ェ据わってんですけど」
「錯覚じゃないですか。若しくは何か心に疚しい事があるから、そう見えるとか」
「だァーから謝ったじゃねぇかよ!こうやってメスゴリラの制裁だって受けたし!それをいつまでもネチネチネチネチ小姑か、お前は!!」
「そうですね。まさか銀さんにボコられるとは思いもしませんでしたけど、それを予測出来なかった僕も悪いんです。ええ」
「オイ」
「姉上の件は兎も角、信頼してたのに殴られるなんて…いえ、銀さんは決して悪くないですよ。それに甘えてた僕が悪いんですし」
「しんぱ」
「近くに居た僕も僕ですよね。銀さんは絶対僕には手を出さないって、妄信にも近い過信をしてたんですから。お互い様です」
「いやだか」
「桂さんも近くに居たのに、真っ先に僕に手が出ましたよね。だから実は僕よりもやっぱり桂さんの方が大事なのかな、とか疑ったりもしてるんですけど、考えを改めて違う角度で見てみれば、どんな状況であれ、僕に一番手が出るって事は、喜ばしき事なのかなって。仮令問答無用でしばかれても」
「だァーーー!もう好い加」
「でもやっぱりショックだったんです」
「……」
「解っていても、ショックだったんです」
「……しんぱち」
「ああいうのは金輪際、御免蒙ります」
「…………悪かった」
「はい。大丈夫です、ちゃんと解ってますよ。だから、今回は我慢してくださいね」
「…お前らホント、そういうとこは似てるよな…」
「何を今更。寧ろ僕は姉上よりマシだと自負してますよ」
「…………」
「何ですか、その無言の攻撃は」
「いやだって、…いッ!」
「はい、我慢!僕だって頭キてんですからね。銀さん相手に優しく手当てなんてしませんよ」
「わーってますよ。今回は甘んじて受け入れます」
「宜しい。それじゃ、せいぜい歯ァ喰いしばって耐え抜いて下さいね」


*あの争奪戦の後、お妙さんから4分の3殺しという制裁を喰らい、それを手当てしてる最中の会話。


作品名:銀新ログ詰め合わせ 作家名:真赭