銀新ログ詰め合わせ
※この話は金新(NOTアゴパチ)パラレルものです。続きません(笑)
「いらっしゃいませー」
明るく爽やかな声に誘われて、僕は店内端っこ、日当たりの良い席へ座る。
この地には出張で遣って来た。
家の事を粗方済ませてから、それこそ慌しく新幹線に乗り込んだ所為か、少しばかりお腹が空いてしまった。
けれどもわざわざ外に出るのも億劫だ。
そんな時、偶々目に留まった『レストラン GOLD』の文字。
ホテル内にあるそれは、ビジネスにしては少しばかり洒落ていて。
欲求と興味、その二つに抗えなくて、気が付けば店内へ足を踏み入れていた。
そっと差出されたメニューに上を向くと、鮮やかな、金。
陽に透かされ眩いばかりに輝くそれを、食い入る様に見詰める。
まるで催眠術でも掛けられたかの様に。
すると小さな苦笑が直ぐ間近、そう、その金色から聞こえてきた。
ハッと我に返るも後の祭り。
余りの恥ずかしさに思わず下を向くと、気にしないで下さい、と頭上から低く甘い声が降りてきた。
「済みません、やっぱり吃驚しますよね。一人辞めちゃったもんで人手が足りなくて。何時もは中の方に居るから、お客様を驚かせる様な事は無いんですけれど」
眦を下げて告げられる言葉に、慌てて首を振る。
「いっいえ!こちらこそ不躾で済みませんでした!あの、その、綺麗な色だなあと思ってつい…」
我ながら酷い台詞だ。
顔に血が昇るのがいやでも分かる。
けれどもそれを止める術など何処にもありはしない。
益々俯き加減になってしまった僕を他所に、その金色の男はやわらかな声で礼を述べた。
有難う御座います、と。
ゆっくりと顔を上げれば、その声音に似合った柔和な笑みが眼前に広がる。
「ようこそレストラン GOLDへ。どうぞゆっくりしてって下さいね」
それが彼との出会い。