銀新ログ詰め合わせ
暖冬と騒がれる中、珍しく凍える様な寒さを覚える日だった。
無論こたつといった暖房器具など出している筈もなく、寒々しい家がより一層寒さを増した感じがする。
部屋の中に居ても吐く息は白く浮かび上がり、銀時は布団に包まったまま眉間に皺を寄せた。
「…さみぃ」
「そんだけ厳重に防寒しといて何言ってんですか」
ひとりごちた筈の呟きに、応えが返る。それに然程驚く事もせず、銀時は首だけぐるりと声のした方へ向けた。
そこには黒髪の助手――志村新八が盆に何かを乗せたまま突っ立っていた。
また小言か、と更に寄った眉間に然し新八は苦笑するだけだった。
「流石にそこまで僕は鬼じゃありませんよ。どんだけだと思ってんですか」
そう言いながら手渡されたものに目を丸くする。
「新八。コレ、」
手渡されたものはココアだった。
確かに買い置きはしておいたが、この小煩い助手が勝手に飲まない様――何せ彼は糖尿寸前なのだ――厳重に管理してあった筈のもの。さしもの銀時も不思議に思い、首を傾げた。
「今日位は、良いでしょう?」
ふわりと香る甘い匂いと共にやわらかく微笑う助手に、銀時はああ、成程、とマグカップの中身を一口飲んだ。
「甘ェ」
じんわりと浸透する熱に、むず痒い幸せを覚えて、銀時は知らず口元を緩めた。