銀魂ログ寄せ集め
ざり、と土を踏む。それに倣う様にして、かさりかさり、草が足を擽る音が続いた。
仰いだ空は高く蒼く。
―――あいつ等にも、見せてやりたかったなぁ。
感傷には、程遠く。
目線の高さ、遮る物が何一つ存在しないこの景色にほんの少しの憧憬を孕んで。目の前の、子供達を見詰めた。
***
「銀さん!何やってんですか。早く早く!」
急かす様に背を押され、不意打ちによろけつつも、小高い丘の上に銀時は立った。夕焼けが落ちる寸前、橙色に染まった世界を目の当たりにして、少し目が眩む。
「江戸にもこんなトコ残ってたんだな」
感慨深げにそう呟くと、隣に居た少年が、すこうしばかり胸を張って、そうでしょう、と応えを返した。
―――この場所を教えてくれたのは、他でも無い、彼だった。
子供らしいその仕草に目を細めて、そうして前に向き直る。
「江戸の町は高層ビルばかりで、折角の流星も見れませんからね。此処なら思う存分、満喫出来ますよ」
その言葉にはしゃぎだした少女を横目で見ながら、銀時は二人をその先、大木が立つその場所へ足を運ぶように促した。
目的地は、もう直ぐ其処だ。
ゆったりと歩みながら、天を仰ぐ。見上げずとも視界に入るというのに、こうして首を上げてしまうのは、もう無意識という癖に近い。
―――それ程までに、今に馴染んでしまった。
「昔はこれが当たり前だったんだけどな」
小さく零れた言の葉は、今度は誰も拾う事は無かった。それを幸い、と思うべきか。
銀時は止まっていた歩を再び動かし、二人が既に着いてしまった場所へ急いだ。
三人、ごろりと横になって拝んだ空は、昔と変わらず、そして何処か違っていた。そうして流れる箒星を追いながら、矢張り見せたかったと思うのだ。
今は亡き同胞に、これを見せてやりたかった。見て、貰いたかった。
若し見れていたら、という思いは同情か、はたまた贖罪だろうか。そのどちらにせよ、彼らと一緒に拝められたら、それはそれで良い思い出になった事だろう。
考えて、緩く被りを振る。馬鹿げた想いを一蹴して、光の大群に意識を向けた。
すると当然の様に感じる二つの気配。
星が流れる度に隣で聴こえる歓声に苦笑して、そうしてこれはこれで良い思い出だと、そう思った。
*EDネタでした。