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永遠に失われしもの第5章

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シエルを行かせた後すぐに
 セバスチャンは、地を蹴って、
 素早く秘密文書保管庫の屋根に飛び乗り、
 博物館の屋根へと飛び移った。

 
 「予想通り、お出ましになられましたね」


 サンピエトロ寺院の尖塔の上に、
 影を見つけるやいなや、
 セバスチャンは博物館の巨大な石造の
 建物の屋根の上をつたい走って、
 その影に向かう。

 丁度セバスチャンが
 システィナ礼拝堂の屋根に飛び移った時
 キラリと光るものが、
 セバスチャンめがけて近づいてきた。

 懐の銀ナイフを素早く取り出し、
 的確にその光に当てると、
 鋭い金属音が響く。

 ナイフに遮られることなく、
 尚も近づくそれは、
 次第にはっきり見えるにつれて
 鋏状のものであることがわかる。

 そしてそれは、
 空気を切り裂かんばかりに轟音を立て
 セバスチャンの足元の屋根を
 抉るようにして突き刺さった。


 「ロナルド・ノックス!」


 寺院の尖塔から
 大空にまるで羽ばたくような仕草で
 大きな跳躍を見せたその影は、
 眼鏡に陽光を反射させながら、
 大きな声で怒鳴るウィルであった。


 「16条違反ですッ!」


 まだ姿を見せぬロナルドに向かって
 ウィルが怒鳴る。


 「スンません。
  それって何でしたっけ??」


 どこかからか尋ねるロナルドの声がする。


 「16条!
  濫りに
  人間界の財産を破壊してはならない!

  ・・・・あれは世界遺産ですよッ」


 後方に大きく跳躍するセバスチャンに向かって、さらにウィルが怒鳴る。


 「セバスチャン・ミカエリス!

  本日付けで、貴方とその飼い主は
  排除命令が適用となりました。
  無駄な抵抗は止めて、
  さっさと狩られなさい!」


 ウィルはそう言い終わると、
 鋭い勢いでデスサイズを
 セバスチャンの喉元に付き立てた。
 
 靴の先端でそれを蹴り飛ばし
 セバスチャンは、前方に跳躍して
 その柄をつかむ。


 「同じ手には乗りませんよ!」


 ウィルは素早く柄を縮めて、
 セバスチャンの手を離させると、
 また瞬時のうちに第2打を放ち、
 デスサイズがセバスチャンの頬を
 かすめていく。
 
 一筋の血が
 セバスチャンの頬から流れ出た。

 さらに何度もウィルは、
 セバスチャンにデスサイズを
 突き立てようとする。

 それを紙一重で交わしながら
 セバスチャンは妖艶な微笑みを浮かべ
 ウィルに話しかける。


 「どうやら本気のようですね」

 
 「淫猥な笑みを私に向けないで頂きたい!
  汚れます。

  それより泣きながら
  許しでも請うてみたらいかがですか?
  場合によっては、
  若干酌量されるかもしれませんよ」


 「ご冗談を」
 
 というとセバスチャンは
 大きく跳躍し反転して、
 ウィルの後方に回った。
作品名:永遠に失われしもの第5章 作家名:くろ