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だぶるおー 天上国2

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「自分で探せ。取替え子のディランディーに、あれが御せるとは思えねぇーが、まあやってみろよ。うちのちびは強烈だぜ? 」
 それだけ言うと、男は茂みの奥へと消えた。それが、始まりだった。


・・・・・あの野郎、ほんと、いけすかねぇーやつだったな。・・・・・
 ぼんやりと、天蓋つきのベッドで懐かしいことをロックオンは思い出していた。あれが、全ての始まりだった。そして、無事に子供を連れ帰るのに、十年近くかかってしまった。それまで、あのオアシスで、ロックオンことニールも暮らした。最初は家も何もなかったから、とりあえず、掘っ立て小屋作りから始めたのだ。オアシスは、存外、広くて果物はあった。だが、それだけでは生きていけないから、畑を作ってみたり、近くの村まで買出しにも出かけた。そうやって生活できるようにするのに、何ヶ月かかかって、その間、一度も子供は現れなかった。泉の傍に家は作ったが、オアシスの奥に、別の泉があることが解って、合点はいった。食べるものは、ないことはないし、小動物はいるから狩れば、肉にもありつける。だから、子供は、誰とも接触しなくても生きていけたらしい。
「諦めな、ちびは野生の獣だ。おまえにゃ、どうにもできねぇーよ。」
 あの精霊だけは、たまに、そう言いに現れたが、それも無視だ。毎日のように、オアシスを歩き回り、デュナメスと子供を捜した。根気良く探していると足跡や走り去る姿は確認できた。
「こういう場合は、餌付けか? 」
 相棒のデュナメスに尋ねると、ひんっっと嘶いた。名家の人間とはいえ、ニールは外で暮らしていることが多いから、サバイバルには慣れている。食事も作れるし、寝床もベッドなんてなくても困らない。気長にやりますか、と、ニールは煮炊きして、それを奥の泉の傍に、毎日、置くことにした。野生の獣だというからには、煮炊きものなんか知らないだろう。

 半年近く暮らしてみると、存外、暮らしやすいということがわかってくる。外敵がないから襲われることはないし、泉の傍なら食物も育つ。もってきた種を巻いておけば、手もかからずに実るし、水には困らない。奥の泉に毎日、捧げモノのように置いている食事も、食べられていることが多くなってきた。そろそろ接触できるだろうか、と、考えつつ、水浴びしていたら、対面の茂みから小さな生き物が顔を覗かせていた。声をかけては逃げられるだろうから、ニールは気付かないフリをした。たぶん、九歳になっているだろう子供は、そういうには小さかった。傍にいたデュナメスも気付いたのか、ニールに鼻先をこすりつけてくる。
「いいんだ。気付かないフリをしてくれ。」
 囁くように声をかけて、ニールは泉に潜る。ここには、小魚しかいないので食用にはならないが、和む光景だ。それを眺めつつ、泉の対面まで潜ったままで近寄って、顔を水面に上げたら、子供と目が合った。
「よおう。」
 声をかけたら一目散に逃げられた。まあ、そうだろう。だが、いい傾向だ。こちらに興味を持ってくれたら、接触しやすくなる。水を飲みに来た鳥を射って焼いていると、子供が顔を出した。
「食うか? 」
 腿肉を千切って、大きな葉に乗せて、離れた場所に置いてやる。すると、ニールが、そこを離れると、子供が近寄って食べる。そういうやりとりから接触は始まった。そこから名前を知るまで二ヶ月。そこからは早かった。一緒に食事して言葉を教え、剣や弓の扱い方、体術の訓練と、順々に教えていく。

・・・・今思えば、楽しかったな。・・・・・

 触れることもできなかった子供は、少しずつ距離を縮めてきた。慌てず焦らず、ニールも、根気良く、それを待った。そうやって、培ったものは、ニールにも大切な絆になっている。それを思い出して、寝返りをうった。自分が仕えることになるであろう子供の成長は、楽しみにもなった。
 今は、すでに即位して王となった。命じてくれれば、ニールは、どんなことでもしてやろうと思うほどの立派な王だ。

・・・・いや、なんていうかさ・・・・あれだけはなあ・・・・

 わざわざ、馬を代えて、こっそりと出てきた原因だけは、どうも納得がいかない。お陰で、ディランディー家の家督は弟が継ぐことになったし、自身も城に留まっていろ、なんて命令されてしまった。たが、そうはいってられないし、できれば、と、思うことがあって、その手配はして出てきた。結果が、どうなったのかは、まだわからない。ただ、思う方向に進んでいてくれたらな、とは願っている。





 毎日の日課として、午後からジョシュアは、ロックオンのところへ顔を出すようにしている。週に何度かは、教授の講義もあるし、ハワードとダリルも顔を出しているから、適度な来訪者が、ロックオンの許にはある。だが、今日は侍女たちに止められた。発熱しているので、話し相手は必要ではない、と、言われた。
「発熱? 」
 じゃあ、見舞いだ、と、切り替えして部屋に入ったら、確かに、ロックオンはベッドに沈んでいる。
「具合悪いんだって? 」
「・・うん・・・いや、熱は大したことないんだけどさ・・・里心ついて気分が滅入ってるだけだ。」
 珍しく暗い声だ。この男、最初から陽気で気さくな態度だったから、ジョシュアも忘れていたが、実は目的があって王都へ出向こうとしていた。それも、知り合いのために、調べ物をする用事も携えているのだから、身内もあるのだろう。それらを思い出しているとしたら、そりゃ落ち込みもするだろう。
「怪我して、しばらく動けないって手紙でも書くか? 届けられるとこなら、届けてもらうぞ? 」
「・・いや・・うん・・・かなり遠いから・・・それに心配されるのも困るし・・・てか、俺、いつ出してもらえるんだろう?」
 それは、かなり難しい。あのグラハムが見初めて寵愛しているなんてことになっているのだから、あの男が手放すとは到底思えない。いや、そればかりか、襲われるんじゃないか? と、内心で同情した。
「・・・ごめん・・・しばらく無理だ。というか、そのケガじゃ、馬にも乗れないだろ? 」
「・・・・乗れるとは思うんだ。・・・片手で手綱は使えるし、アバラは固定してもらえば・・・・」
「けどさ、ロックオン。それだと戦えないから王都までは厳しいぞ。」
 もちろん、乗るだけならどうにかなるだろう。だが、王都まで治安の良い場所ばかりてはない。襲われたら逃げるしかないとなると、かなり危ない。
「あー右腕はまずったな。」
「その程度で済んで御の字だと思うぜ。・・・・なんか気晴らしでも考えとく。」
 そう励まして、ジョシュアも部屋を出た。とはいうものの、気晴らしといっても、何か考えがあったわけではない。こういうことは、年の功か? と、エイフマン教授に尋ねてみたが、学究一筋の男にも思いつかない。ダリルとハワードも巻き込んだが、軍人やってるような人間に、そういうものは必要じゃないから、こちらも唸るばかりだ。
「部屋から出しちゃダメなのか? ハワード。」
「隊長からは隠せと言われているんでな。外出はまずいだろう。」
「窓のある場所はどうじゃ? 」
「それぐらいなら・・・」
作品名:だぶるおー 天上国2 作家名:篠義