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アカシアの樹で待ってて

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「あれってオレのことじゃねぇの?」
「………………」
「オレが他に気になってる女の子がいたから、オレの為に離れたんじゃねぇの?」
 手を伸ばせば届きそうな距離まで近付いてオレはピタリと足を止めた。
 俯いている獄寺の表情は見えないけど、煙草を握り締める指が小さく震えているのが分かる。
 獄寺を追い詰めるようなことがしたい訳じゃないけど、オレはここで引く訳にはいかないんだ。
「………………お前は何でそうやっていつも自分の都合の良いように考えられんだよ」
 搾り出すような獄寺の言葉は、獄寺を覆っている何かが剥がれかけている気がしたけど、それでもまだ全部が見えている訳じゃない。何かが足りない気がしているけど、オレには何が足りないのか分からなかった。