二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

アカシアの樹で待ってて

INDEX|9ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 


 それはまだ高校に入ったばかりの頃だったと思う。


「最近獄寺君もまるくなったよねぇ」
「そーすか?」
「うん、ちょっと前から思ってはいたんだけど……今だってほら、山本」
「野球バカがどうかしましたか?」
 オレの隣の席で前後に座って話していたツナと獄寺が二人揃ってオレの方を見た。ので、ノートを写すのに必死だったオレは一瞬だけ顔を上げてへらっと笑う。
「山本が写してるのって獄寺君のノートでしょ?」
「はぁ。まぁ、アレは十代目用なんスけどね」
「あはは、ありがと。ほら、前だったら山本が勝手に獄寺君のノート写したりしたらダイナマイトだったじゃない?」
 人聞きの悪いことを言うなよツナ。オレは勝手に獄寺のノートを写してる訳じゃない。ちゃんと獄寺にノート借りるぜ〜と声をかけている。……まぁ、返事は貰ってない気はするが、獄寺が何も言わなかったってことはそれはお許しが出ていることとイコールなのだよ、ツナ。
「あー……、オレも学んだんですよ。言葉の通じないバカには何を言っても無駄だって。そんな無駄な労力を使う余裕があるなら、その分全力で十代目をお守りすることに使いたいと思ってます!」
 最初は低かったテンションが後半につれて上がって行って、ついでに声まで大きくなっている。チラッと横目で見ると拳を握り締めて斜め上を向いて恍惚としている獄寺と、困ったように笑うツナが目に入る。それを見て獄寺がオレに慣れただけじゃなく、ツナだって獄寺に十分慣れたよなぁと思ってしまうのだ。
 オレがこっそり見ていたらツナと目が合って、オレ達は目と目で会話をする。
(あーあー、また始まっちゃったよ)
(ま、しょーがねぇんじゃねぇ?)
 二人だけじゃなくて、オレとツナの絆だって着々と強くなっているのだ。そうこうしているうちに獄寺がこちらの世界に戻って来た。
「あっ、テメー何十代目と目で会話してやがるんだよ! 野球バカはオレの有難いノートだけ見てりゃいいんだよ!」
「お、お許しが出た」
「今更なこと言ってんじゃねぇよ、この休み時間しか見せてやらねぇからな」
「えっ、マジで。冗談だろ」
「今日そのノートは十代目にお貸しすることになってんだよ、大体オメーの為のノートじゃねぇんだって何回言わせりゃ気が済むんだこの野球バカ」
「山本、ゴメンねー」
「そりゃねーよ、ツナぁ〜」
 ツナは申し訳なさそうな顔をしているけど、譲ってくれるつもりはなさそうだった。特に問題がなければ、いつもならここでツナが山本今日は持ってっていいよ、ね、獄寺君いいでしょ? とか何とか言ってくれるのに……!
 ツナに必要とされたからか、獄寺は誇らしげに腕を組んで物凄く満足そうだ。
「オレ、今度の補習は試合あるから出れねーんだよ、だから、ツナ様ァ〜!」
「テメェ、誰のノートか分かってんのか」
 獄寺がオレに向かって凄む。今更獄寺に凄まれたってオレはちっとも堪えないし、この場合、許可を得なければならないのは獄寺よりもツナなのだ。オレは間違っていない。
「補習の土曜日、オレも京子ちゃんと約束しててさ〜。ホント、ゴメン!」
「マジかよ〜! 酷くねぇ? デートと試合ってどっちが重要だと思ってんだよー」
「十代目のデートの方が何万倍も重要に決まってんだろーが、バカが!」
 机にべったりと張り付いて叫んだオレに、横で見ていた獄寺が容赦ない一言を浴びせかけて来た。酷ぇ!
 ガバッと起き上がって酷いと訴えたオレを見ても獄寺は腕を組んだまま冷ややかな視線を投げて来たし、それを見たツナは他人事のように笑っていた。