二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

永遠に失われしもの 第7章

INDEX|4ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

第三楽章 Molto moderato e maestoso

重々しいヴァイオリン独奏からはじまり、
 Allegro non troppo の第一テーマへ


 すっかり夕闇に埋もれつつある街の空に、
 屋根から屋根へと、黒い影が移動する。


 --私に巣くう闇

   いや、私こそが闇


   悪魔が存在する空間は
   いわば永久機関のようなもの

   全てが完璧に、恒久的に循環する

   貴方は闇に住まう者に成り下がっても
   まだ光を追い求める

   それは人間であったときの
   魂の欲求なのか

   貴方自身の存在が求めるものなのか

   闇を霧散させるほどに
   光を求め続ける貴方--

   悪魔が代償のない契約を守るとでも?



 サンピエトロ聖堂の鐘が鳴り渡る。
 枢機卿の死が確認されたのだろう。

 何事があったのかと、家々の外に出て
 鐘の音を聞く人々。

 ヴァチカン衛兵はせわしなく配置を変え、
 ローマのあちこちに、
 警察の非常線が張られる

 黒い影は、シエルの乗る街馬車へと近づき
 中に消えていった。