永遠に失われしもの 第8章
死体の検分を一応終えたラウル刑事は
立ち上がって、補佐官に言う。
「すさまじい手口ですね。
間違いなく、プロの殺しを生業とする
者の犯行といったところでしょうか・・
盗られたものとかはないんですか?」
葬儀屋の長すぎる銀色の前髪の奥で、
翡翠色の目が光る。
「いえ・・・・
書類の用意ができました」
補佐官が分厚い書類の束を、
ラウル刑事に渡すと、
彼はぱらぱらとめくって、目を通した。
「ふむ。
謁見記録ですね。
これによれば、今日最後の謁見者は
レオ・アウグスト・オレイニク公爵」
葬儀屋の前髪の奥で、翡翠色の目が再び
光った。
(伯爵.....いや公爵だったね。
小生に極上の笑いをありがとう
お返しをしてあげないといけないねぇ)
作品名:永遠に失われしもの 第8章 作家名:くろ