花畑の約束
しかし、その約束は叶うことなく、
次の年を迎える前に、神聖ローマは戦いに身を投じてしまった。
残ったのは、しわくちゃに枯れてしまった花冠のみ。
イタリアは涙がでなくなるほど泣き叫び、
それからというもの、あの約束を守るため毎年花畑にきていた―――
少し昔のことを思い出していたイタリアは、
もう一度悲しげに笑うと涙をこぼした。
「神聖…ローマ…」
もう二度と会えることのない、愛しい人の名前を呼びながら、
以前彼にあげた花冠をつくりはじめた。
一つ、二つと沢山の花冠ができていく。
これだけの量をプレゼントしたら、きっと喜んでくれる。
プレゼント、できたら。
「うぅ…ぅ…」
毎年待っているのに。ずっと待っているのに。
涙が溢れて止まらない。
手のひらをぎゅっと握りしめ、泣き叫んだ。
「会いたいよ…神聖ローマぁぁっ!!」