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鈴鳴の秘宝 第一章 予兆

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Episode.3 星杯騎士



…シスター?
「あの…こちらが特務支援課のビルでしょうか」
「は、はい!どうかなさいましたか?教会の方で何かあったんですか?」
「い、いえ。私たちはシスター・マーブルさんの教え子の方とお話がしたくて…」
正しく言えば、グノーシス事件の事を聴きに来たのだが。とは言えなかった。
「あ、それなら私とロイドです。でも、その今は…」
表情の曇りをケビンは見逃さなかった。
「ここにいるのは4人だけみたいやけど…ロイド君っておらんよな?」
よく見ると奥にいる子供はとても暗い顔をしていた。
「っ!!」
「いなくなった。突然な」
「すみません、その事を詳しく聞かせていただいてもよろしいでしょうか」
「どうしてでしょうか」
警戒した顔でティオが訊ねる。
「…七耀教会の者ですが私たちは――…」
懐から紋章を取り出す。それを見た3人は驚愕の顔になった。
「杯に太陽、星、月のマーク…」
「星杯騎士団…!」
「『突然人がいなくなり、あり得ない距離で発見される』」
「…そういう事でしたか」
「な、何が?」
「察しがよくて助かります」
「違和感の正体。あれはあなた達が意図的に流した物だったんですね」
「俺らやなくて正確には俺の上司なんやけどね」
「何のつもりで…」
「話は後やろ。まずはそのロイド君を探さんと」
「……」
「そうだな。悪いけどあんたら手貸してくんないっすか」
「ランディさん…!!」
「ティオすけ。キー坊を悲しませたまんまでいいのか」
「…分かり、ました」
信用してもいいのか。
だがキーアを悲しませたままというのはあまりに辛い。
「ティオちゃん、探してみて」
「……」
杖を掲げ、目を瞑り思念力を展開する。
「やっぱりいません。まさか、もうすでに遠くまで…」
「ティオちゃん、その能力どのくらいの範囲なんや?」
地図をとんとんと指してペンを差し出す。
「…このくらいですね」
「あの、この点って?」
「これは行方不明者の見つかった所です。見つかった場所はバラバラですからあまり役にたたないのですが」
「……1,2,3…」
「ティオちゃん?」
おもむろに発見場所を3つに区切り、指で点を数え間違えがないように何度も数える。
そして、確証を得た。
「次は月の僧院ではないかと」
「なんで…」
「古戦場、星見の塔の周辺はどちらも5名ずつ。ですが月の僧院の近くでは4名。偶然かもしれませんがその割には…」
「なら行こか」
「えっとなんでお二人も…」
「言ったでしょう?協力しますよ」

作品名:鈴鳴の秘宝 第一章 予兆 作家名:桜桃