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Shall we dance ?

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ギルは黙っている。
その顔から怒りの色は消えていた。
無表情でエリザを見ている。
ふと。
ギルは眼を大きく開いた。
ハッとなにかに気づいたような表情になった。
それからすぐにまた表情が変わり、あせった様子になる。
「あー…」
切れ長の眼、その視線が泳ぐ。
どうやら、エリザから言われたことの意味に気づき、状況を理解したらしい。
ちゃんとこっちを向きなさい。眼を合わせなさい。
エリザは胸のうちで言った。
しかし、口には出さずに、ただギルをじっと見て、待つ。
「えー…っと、だな」
ギルがようやくエリザを見た。
だが、眼はそらされた。
けれども、それで終わりではなく、ギルの手があげられた。
ギルはエリザの腕をつかんだ。
横を向いていた顔が、正面に向けられる。
真摯な瞳が向けられる。
次の瞬間、その眼は閉じられた。ぎゅっと強く、ためらいを振り切るように、ギルは瞼を閉じた。
直後、その口が開かれる。
「好きだ……!」
飾り気のない、洗練されていない台詞。
でも、嘘のない言葉だ。
ギルの本心であることが伝わってくる。
エリザは微笑む。
嬉しい。
嬉しくて、嬉しくて、たまらない。
胸の中で心が飛び跳ねている。
私も、とエリザはギルに言おうとした。
しかし、ギルが身を寄せてきたので、少し開けていた口を閉じる。
眼も閉じた。
唇にギルのそれが重ねられたのを感じる。
だが、それは軽く触れただけで離れていった。
エリザは眼を開ける。
ギルはあわてたように横を向いた。その顔は赤い。
「じゃ、じゃあ、そーゆーことだからな!」
ぶっきらぼうに言うのと同時に、エリザの身体をとらえていた手を自分のほうに引いた。
手をおろすと、ふたたび踵を返した。
作品名:Shall we dance ? 作家名:hujio