二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

永遠に失われしもの 第9章

INDEX|3ページ/12ページ|

次のページ前のページ
 

 「実は・・エット-レ卿が殺されまして
  あなたがたが、
  お帰りになったほぼ直後に」


 ラウルは、艶やかな漆黒の前髪が一筋かかる
 セバスチャンの紅茶色の瞳を探るように、
 じっと見つめた。


 「ああ--
  それでこちらにいらしたのですね」


 しかし、淡々と仕事をこなすかのように
 受け答えをする執事の表情からは、
 何も読み取ることができなかった。


 「なにか、卿の態度に変わったところとか
  ありませんでしたか?」

 「初対面なもので、変わったところと
  仰られても、判りかねますが」


 セバスチャンの反応を見ることを断念した
 ラウルは、シエルならば何かしらのものが
 得られるかもしれないと考えた。


 「公爵にお伺いしてもよいですか?」


 ふとセバスチャンが
 考え込むような顔をしたのを、
 ラウルは見逃さなかった。

 
 「公爵に尋ねると何かまずいことでも?」


 意を決したように息を吐いて、
 セバスチャンはラウルに語り始めた。


 「エットーレ卿には--
  特別な趣味がお有りだったようで、
  ご存知ですか?」

 「いえ・・」


 ラウルはまだ補佐官に渡された書類全部を
 よく読んだわけではなかったが、
 彼がざっと目を通した限り、
 たまに政治家や、この国の影の組織であるマフィアと接触していたこと以外、
 これといって、
 記憶に残るような特別なことはなかった。


 「美しい少年が大変好みで」


 ラウルは思わず、
 メモを落としそうになるほど、その執事の
 考えてもいなかった答えに驚愕した。

 確かに謁見記録には、肩書きやら階級に
 ついては細々書かれていても、
 年齢や容姿までの記載はないのである。


 「それは・・・」

 「ぜひともご内密にお願いしますよ」

 「勿論です」


 ラウルは、補佐官もそのことを
 知っていたに違いないと思うと、
 思い切り殴りつけたい気持ちに駆られた。


 (知っていた癖に隠しやがって!)


 「それで我が主は、
  大変嫌な目に遭いまして。

  今日のところは、目の前で
  卿の名前を出されるだけでも、
  身体に震えが来ることでしょう。

  何とぞ、ご配慮お願いします」


 「それは、それは。
  ・・・・・

  分かりました、
  また後日伺うことにしましょう」

 「ありがとうございます」

 
 優美な動作で、丁寧にお辞儀をする
 セバスチャンを見つめながら、

 ラウルは先程まで全くの無表情だった
 この執事が、今は表情豊かになり、
 彼の主人を心配しきっている様子を見て、
 何かが変だと感じた。


 (彼を守ろうとしているのか?
  それとも彼をかばっているのか・・
 
  どちらにせよ、
  並々ならぬ想いには違いない)