鈴鳴の秘宝 第二章 歯車
Episode.7 到着
「あー!やっと着いた!!」
日が頭上にあり、いい日差しがエステル達に降り注ぐ。
「さって、まずは挨拶だよね」
「先に支援課のビルに行くの?」
「さすがにそれはどうかと思うけど…」
「そうよ。あちらも仕事中かもしれないし、先に遊撃士協会でしょうが」
「そ、そうだよね!久しぶりにミシェルさん達に会えるのかー…うん、楽しみ!」
「おい、ティータ。何してんだ」
「あ、はい!!」
「やっぱり珍しいのかしら?」
隣でレンが笑う。ティータは嬉しそうにレンと話しだした。
「あらー!久しぶりじゃない、エステルちゃんヨシュアくん!」
「お久しぶりです、ミシェルさん」
「それで…そちらがシェラザードさん?」
「はい。シェラザード・ハーヴェイです。シェラで構いません」
「はいはいよろしくねぇ~!それでそちらは護衛の?」
「アガット・クロスナーだ」
「あらまぁいい男!!今夜…」
「断る」
「つれない人ねぇ…もしかして、そこの子が…?」
「ほぇ?」
ティータが何が何やらわかっていない顔をしている。ミシェルはうんうんと頷いて納得してしまった。
「なに納得してんだよ…」
「ま、まあいいじゃない!ミシェルさん、さくっと届け出書いちゃうから!!」
書いているうちに、遊撃士協会の扉が開いた。
「あら、支援課の子達じゃない」
「えっ!!」
首を回して入って来た人を見る。そこには、変わらない4人の姿があった。
「久しぶりー!!最初に寄ろうかなーと思ってたんだけどね!うわー!うわー!!」
以上にテンションの高いエステル。
「お、落ち着いてくれよエステル…」
「お兄さん達、元気そうね」
「レンさんもお変わりないようで」
「あの、3人って聞いてたんですけど…」
「ああ、俺はこのちびの護衛だ」
「ティータ・ラッセルです!あの、よろしくお願いします」
「可愛い……ん?ラッセル?」
「ラッセル博士のお孫さん…ですか?」
ティオがティータを見つめる。
「は、はい!私、導力ネットワークの勉強しに来たんです」
「挨拶はいいとして、今晩から?」
「ああ、そうだ。そのうちそっちにも情報が行くと思うけれど、ほら、突然人がいなくなってる事件、あるでしょう?」
「!」
「どうかしたの?」
「まぁ、それは後ほど。それで、その事件が何か?」
「夜間の見回りはとくに警戒するように。いなくなっているのはいつかは分からないけれど、目撃者がいないから夜間の線が濃厚だと思うのよ」
「了解です」
「じゃあロイド、今のうちに行ってきたら?」
エリィが気がついたように言う。
「明日からしばらくだしな。今から行けば夕方には帰ってこれんだろ」
「そうだな…じゃあ行ってくるよ」
「どこ行くの?」
「教会までね。それじゃあまた今晩」
「あの、私も付いて行っていいでしょうか」
「なら私たちで説明しておくわね」
「気を付けていけよー」
4人にしか分からない会話を展開し、遊撃士たちをおいてけぼりにして、ロイドとティオはその場を後にした。
作品名:鈴鳴の秘宝 第二章 歯車 作家名:桜桃