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鈴鳴の秘宝 第二章 歯車

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Episode.11 ひとつめ



「ケビンさんにリースさん…どうしてここに?」
「久しぶりやね、エステルちゃん」
「うん、久しぶり…ってだから!」
「すみません、時間がないので」
『エステル!ちゃんと対応してる!?』
「あ…アガット!行こ!」
武器を構えて走り出す。アガットもそれに続いた。
「ティオ、行けるか?」
「問題ないです…!」
「お二人とも、鈴の音には気を付けてください」
走り出そうとした足が止まる。
「エステルさんもです。鈴の音が聞こえたのなら、危ないです」

「はああああっ!」
エステルが敵をなぎ倒していく。とにかく派手な音を立てて街の人を近づけないようにする。
「アガット!!そっち行った!!」
「言われなくても分かってるってぇの!!」
横に重剣を薙ぎ、アガットの所に来た敵を一撃で伏せる。
「手応えねぇな…」
「!アガット、後ろ!!」
「ちぃっ」
「それっ!」
巨大な氷柱がアガットの背後の魔獣に降りかかる。そしてその後から追撃が浴びせられる。
「ロイド君!ティオちゃん!」
「タイミング測ってたか?」
「まさかそんな事してないですよ」
「次、来ますよ!」

「鈴はこの都市のどこかにある。そして、今働いているのは恐らく魔獣を引き寄せる鈴の音」
「さらに、魔獣の身体能力といいもう一つの鈴の音もか」
「つまり、私たちの回収するアーティファクトは5つで1つのアーティファクト」
夜風が吹き、リースの髪をさらう。
「この広い都市だが…お決まりのパターンやな」
「お決まり?」
二人は会話しながら歩いて行く。
鈴のあると思われるところへ。
「魔獣の多い所出入口の近くにあるんやないか?そして多いと推測されるのは…」
「エステルさん達のいるところ」
「そしてここからは鈴の音は聞こえた」
「だがあっちに鈴の音は聞こえていない」
こっそりとエニグマの傍受をしていた二人は大体の状況は把握していた。
そして、3人のほかにももう一人、聞こえていた人がいた事も。
「どの位置からも等間隔であり、人の目につかない所…」
おもむろにマンホールの蓋を開ける。
「私が先行する。何もないだろうけど」
「頼んだ」
首肯し、飛び込む。
辺りは暗いが、すぐに目が慣れる。まず、殺気の確認をし、それからケビンに合図を出した。
「自分で制御は出来てない…ってとこか?」
「そうだと思う。近すぎると逆に聞こえないのかも」
それぞれ法剣とボウガンを構え、少しずつ進んでいく。
「あ…」
やがて進んだ先に、あったもの。
「これが、≪共鳴の鈴≫…」
「通称、鈴鳴の秘宝」
丁重に鈴をしまうと、鈴の音は止んだ。

作品名:鈴鳴の秘宝 第二章 歯車 作家名:桜桃