テニスlog
「何やってんスか……」
「おー!桃、良いトコ来たな!まーまー、こっち来いよ」
「はぁ…。で、これは一体何なんスか?」
「見て分かんない?」
「一見するとハロウィンですね。ランタンが一杯。これ全部先輩が作ったんスか?」
「まっさかー。殆ど大石がやってくれたんだよ」
「…先輩可哀想…」
「桃先輩、菊丸先輩のこの手の我儘はいつものコトでしょ」
「大石は英二に弱いからなあ」
「だからって…。流石にこれは同情します」
「まあそう言わなくても良いんじゃないか?大石だって半分喜んでやってる様なもんだしな」
「乾先輩まで…」
「ちょっとー!そこ!!何コソコソ話してんの!」
「ああ御免英二。で、次は越前だっけ?」
「うぃーっす」
「……何がですか?」
「ああ、今怪談やってたんだよ」
「か、怪談?」
「だから部室、暗いでしょ。気付かなかった?桃先輩」
「いや、それには流石に気付いたけど、ランタンに火が灯ってたからその為かと思ってた」
「菊丸先輩がそんなセオリー通りの事やると思ってんスか。まだまだっスね」
「うっせーよ。でも何で怪談なんスか先輩」
「ああそれは今年の夏、遣り損ねただろ?だから序でにやっちゃおうかと思って」
「…ハロウィンと怪談を?」
「似た様なもんだろ?」
「…完全には否定出来ませんが、流石に少し強引過ぎやしませんか?」
「夏と秋が一気に楽しめていいだろ」
「幾ら残暑が厳しいからって、後退する事は無いと思います。風情を大切にしましょうよ」
「おま、若いのに手塚みたいな事言うなよ。良いだろ楽しけりゃ」
「はあ。まあ先輩が良ければ良いっスけど…」
「何かお前さっきから引っ掛かるな。けど、なんだよ」
「…………怒りません?」
「時と場合に依る。先輩命令だ。言え」
「ちょ、何スかそれ!」
「先輩命令なら仕方ないっスね。さ、サクサク吐いて下さいよ桃先輩」
「あ、それ僕も気になるなあ」
「新しいデータなら喜んで」
「俺に否定権は…?」
「ある訳無いっしょ」
「…ですよね」
「で、続き。桃先輩」
「あー…。怪談。怖い話っスよね」
「それ以外に何があんのさ」
「…英二先輩」
「な、なんだよ改まって」
「約束して下さい」
「何をだよ。あ!またさっきみたいに怒るな、とかは却下だからな」
「いえそうじゃありません」
「じゃ、なんだよ」
「約束してくれるなら言います」
「………解った。すれば良いんだろ、すれば」
「じゃ、言いますよ?」
「…おう、」
「怪談話をするのも、し終わった後その沢山のランタンを片付けるのも一向に、構いませんが」
「が?」
「去年みたいに急に怖くなったからって、夜中にいきなり電話で叩き起す様な事は止めて下さい。本当に」
end.
*去年はそれで貫徹、朝練には大遅刻。鬼の部長は容赦無し。挙句寝不足で色々散々な目に。
今年は同じ轍は踏みません。