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だぶるおー 天上国 王妃の日常2

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「もし、私が永住したいと申したら、それは叶いますか? 」
「ああ、受け入れよう。」
 ニールが召還した相手なら、疑うことはない。なんせ、たらされているから、ニールの不利になるようなことはしないからだ。ディランディー家のたらし能力というのは、そういう意味でも有効だ。
「教授、それは、おいおいに考えてください。まずは、設計を。」
「ああ、そうじゃった。イアンさん、話を戻しましょう。」
 こうやって召還された人間の八割は、こちらに永住する。最初から、永住するつもりで来るものが多いし、客人として召還されても、この世界の居心地の良さに帰らなくなるものも多い。何ヶ月か暮らしてみれば、あちらに未練がなければ永住してしまう。だから、イアンも慌てず、まずは、目先の用件をと、勧めた。
「設計図を引くなら、わしのところのほうが機材が揃っとりますから、明日からは、そちらで。陛下、とりあえず、わしと教授で設計図を引きますから、出来たら、再度、意見を。」
「わかった。そうしてくれ、イアン。」
 要望は、とりあえず出せるだけ出した。後は実際に設計図が引かれないと、意見のしようがないから、そこは専門家に任せる。
「教授、今日は親交を深めるために、わしと一緒に食事をしませんか? 」
「そうですな。陛下から、許可もいただきましたので、できれば、専門の話をさせていただたいものだ。」
「もちろん、わしも、それをしたい。」
 専門家同士というのは、お互いに技術的なことを知りたいので話は尽きないだろう。イアンがもてなしてくれるなら、と、そのまま送り出した。
 そして、ティエリアと刹那は、ふたりして顔を見合わせた。たぶん、同じことに気付いたはずだ。
「母親だな? 」
「そうだ。母親だ。」
 やはり同じことに気付いたらしい。確かに、そういうことだろう。
「口で説明するよりも、実際、目にして説明するほうがいいんだろうな。」
「そうだろうな。どうせ、ニールが行くことになるんだろう。」
 孤児たちを引き取りに出かけるのは、ディランディー家の仕事になる。それが終ってから、この話はするほうが分かり易い。




 日が傾いた頃に、中庭で天日干しされていた王妃は、アリーに取り入れられて、王妃の部屋に戻された。とはいっても、当人はぐーすか寝ている。デュナメスも一日、ニールと過ごしたから満足して厩舎に戻った。ハロたちだけは、一緒についてきて、ニールの周辺に座っている。
「兄さん、生きてるか? 」
 そこへ、夕食を運んできたのが、ディランディ家当主のライルだ。そろそろ空腹ぐらいは感じているだろうと顔を出したが、まだ寝ている。寝室には、ジョシュアがへばりついているだけだ。
「生きてるけど、寝てるぜ? ライル。」
「そろそろ起こそうぜ? ジョシュア。朝から、なんにも食わせてないんだろ? アリーのあほは、扱いが悪いからな。」
 なぜか、ライルとアリーは仲が良くない。お互いに、罵詈雑言を吐きまくる。どちらもニールには言わないが、どうも、それはたらし能力によるものらしい。つまり、ライルは女たらしだから、アリーには効かないのだ。なるほど、本来のアリーの態度というのは、こういうものなのか、と、ジョシュアは、それで理解した。サイドテーブルに食事を置くと、ライルが、ニールに声をかけて身体を揺する。ほらほら、目を覚まして、と、言うと、うーんと、ニールも伸びをして目を開けた。開けたが、やはり腰が痛いらしく、うーと呻いている。
「ジョシュア、そこにクッション運んで。ちょっと待ってなよ? すぐ、座らせてあげるから。」
 ライルは甲斐甲斐しくクッションを運んで、ニールの背中部分にあてがって座らせる。あんたのもあるぜ? と、ライルはジョシュアの分も用意していた。
「あーよく寝た。」
「うん、顔色はよくなったな。ほら、ちょっと食べような? はい、あーん。」
「いや、自分で食えるし。」
「ダメダメ、こういう時は、俺がしたげるの。」
 じゃがいものたくさん入ったスープを飲ませようと、ライルがスプーンで掬って差し出す。弟には甘いニールも、しょうがないな、と、かぱっと口を開ける。

・・・・なぜ、そこまでする? ライル・ディランディ・・・・

 側で、パンにかじりついたジョシュアは内心で呆れつつ、見て見ぬ振りだ。この兄弟、とってもいちゃいちゃなのだ。双子ってこういうものだったか? と、かなり退くぐらいいちゃこらしているように見える。見えるが、当人たちは、そのつもりはない。
「ねぇ、しばらくお里帰りしなよ? ティエも心配してるしさ。」
「いや、おまえとアニューのいちゃいちゃしてんのを見せ付けられるのは勘弁。もう、そっちは、俺の家じゃないよ。」
「何言ってんだか・・・ずーっと、うちは、俺と兄さんのうちだ。アニューだって、兄さんは大歓迎だって言ってたぜ? 」
「そうか? この間、アニューがすげぇー怒ってたぞ? 」
「それは、もう終っただろ? 怒ってないよ。ほら、喋ってないで、パン齧って。」
「うん。」
 ニールがパンを齧っている間に、ライルは残りのスープを飲んで、新しいスープをニールに飲ませる。天上の城の食事というのは、上下関係なく全員、同じものを食べている。わざわざ、変える必要はないだろうというのが、先代の妖精王からの流れだ。現妖精王も贅沢したいというほうではないから、一緒でいいという方針だ。まあ、若いのや年寄りやら混じっているから、そこいらの調整はしているが、肉か魚がついているか、野菜が多いか、その程度のことだ。後は、個人的に食べたいものがあればリクエストするということになっている。
「ジョシュア、足りなかったら肉でも持ってきてもらおうか? 」
 自分たちと同じ内容のものを食べているジョシュアにニールが声をかける。こちらは一日寝ていたからいいが、働いていたものに、この内容は些かお粗末だろうと思ったらしい。
「ああ、ジョシュアのには、肉がつけてあるよ? 兄さんもちょっと食べる? 」
「いや、俺はスープだけでいい。おまえが食べな。・・・いたたたっっ・・・あーもう治してくれりゃいいのにさ。」
 身体を捻ると痛いのか、腰に手を当てて呻いている。延ばしていた足を組もうしただけで、これでは相当重傷だ。
「でも治さなかったってことは、今日は休めってことだろ? 」
「治してくれないと、いろいろと面倒なんだ。召還したエイフマン教授に挨拶ににも行けてないしさ。孤児院の資材のこととか、備品のことだって準備があるんだよ。」
「そういうのは、シーリンがやると思うぜ。クラウスと、備品のほうは手配の準備してたからな。挨拶は、慌てなくていい。王妃は体調不良で寝込んでるってことになってるからさ。・・・・さすがに、夜の営みが激しすぎて、とは言ってないぜ? 」
「バカッッ、そんなこと言うな。」
「言わないよ。ああ、刹那には加減してくれ、とは言った。」
「うん、ありがとう。まあ、それは・・・・刹那も若いからさ。」
「それにしてもやりすぎだとは思うけどね。」
「いや、そういう時期ってあるだろ? あいつ、花街で遊ばせても淡白だったから、なんか、今、やりたくなったんじゃないか? 」
「え? 筆おろしは、ニールじゃないのか? 」