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みっふー♪
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novelistID. 21864
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かぐたん&ぱっつんのやみなべ★よろず帳

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×月×日(6)

――どーもこの時期はジメジメむしむししてねぇ、
かんぶつやのオバちゃんとひとしきり話し込んでの帰り道、――しゅかぁぁ、外は霧雨、弾けるソーダ水のシャワー、お気にのシブい番傘差してひょいと水溜まりを跨ぐステップも軽やかに、ひとつぶおいくらまんえんの食べる宝石、つややかな珊瑚玉ととぱーずカラーに彩られたサトウにしきもかくやあらん、私の愛らしい唇にしぜん歌がこぼれる。
「♪ルラララ〜、ぞ〜ぉさんのォ〜〜〜、」
――たっだいまーっっ!!!
「おかえりー、」
梅雨時だろうと何時だろうとに関わらず、あいかーらずさえない地味な様相に、おかん前掛けスタイルのぱっつんが振り向いた。
「……あのさーぱっつん、」
私は胸に抱えたカートン買いのすこんぶをドサリとてーぶるに置きつつ口を開いた。
「?」
おたま手にしたぱっつんが首を傾げる。この匂いから察するに、――……なるほど、今日の晩ゴハンはがめ煮と小アジのなんばん漬けパプリカマリネ添えですな、外見のぱっとしなさのわりにぱっつんの作るものはわりかしこじゃれている(てゆーかハイカラおばーちゃん寄り)、……てゆーのはいったんコッチに置いといて。
「ぱっつんさー、白ブリーフやめてすきゃんてぃにしなよ、」
私は帰りの道すがら脳裏に思い描いていたズバリ核心をついた。
「はっ、ハァァ?」
別に透けているわけでもなんでもないのに、前掛け押さえてぱっつんが妙な内マタになった。それよかあからさまなマンガ的符丁にズリ落ちた眼鏡のほーどーにかすればイイのにネッ☆
「……すきゃんてぃ派に転向すれば、今よかキャラが濃くなるよーな気がする、なんとなくだけど」
――ウン、新品のすこんぶのぱっけーじを開けてもしゃもしゃやりながら私はひとり頷いた。
「ボクをどーゆー属性にしたいのさっ!」
おたま握ってぱっつんがふるふるテンパった。――ごっくん、最初のすこんぶを飲み下して私は言った。
「……こっそり姉キとおそろの下着履いて初老手前のオジさんにモエモエしてる、おかん気質のドルヲタ地味メガネ、」
「濃すぎだろうがァァァーーーーーッッッ!!!!!」
突っ込みテンションMAXでぱっつんが吠えた、
「そんなことないよォ、世の中には自ら女装子癖持ちのその手の店でパートの人妻とじっせん百合ぷれいじゃなきゃモエらんない、しゃべらない着ぐるみだけが実質マブのKYかくめいかもいることですし、」
「そいつが殊更デムパなだけじゃっ!」
肩怒らせてぜーはー言ってるぱっつんに、――んもー、血管切れちゃうからぁ、私はイキる彼をなだめ、かんぶつやのオバちゃんにしきょうひんでもらったビオチンたっぷり(だったっけ?)の酢ダイズを勧めた。
「あっ、りがとう……、」
ぱっつんは思いのほか素直に私の手から酢ダイズを受け取るともそもそ口に運んだ。と、
「!」
――ブフォ!! ぱっつん師匠が盛大にムセた。やぁねーっ、が・く・し・ゅ・う・の・う・り・ょ・くっ! さっきまでさんざんたっぷりお酢使ってりょうりしてたくせにねーーっっ!!
「……。」
酢ダイズを全噴きしたぱっつんは完全にヘソを曲げてしまった。
「ねーねーぱっつん、」
「……。」
「おーいぱっつーーーん! メガネ師匠ってばーーーっっっ!!」
「…………。」
酢こんぶ箱で握らせてものうさつ☆だっちゅーのぽーずで媚を売ってもぱっつんが一切口をきいてくれないので、私は仕方なくぱっつんモデルの手作りギニョールをこさえて彼の声音で会話した。
『……あーもー、なんだってボクの隣には常にビジュアル的にも内面的にも非の打ちどころのない完璧美少女がいて、IP(一般ピープル)のボクが毎度引き立て役みたいになってんだろっ! あー、イライラする、イライラするなぁもぉぉ、こんなときこそマ夕゛おじちゃんの後頭部土足でげしげし踏み踏みしたいよォォ!!』
「……。」
師匠がちらと眼鏡越しのつめたーい一瞥をくれた。
「いまのぱっつんの心の声」
私は怯まなかった。
「違うアルか?」
私は重ねて彼に問うた。ぱっつんが短いため息を漏らした。
「――違わない……、ってそれじゃカンペキに Λン夕イ じゃないかァァァボクぅぅぅ!!!」
「素直になりなよ」
顔の前のぱっつんギニョールを降ろして私は彼に言ってやった。
「……。」
おたまブン回して取り乱していたぱっつんが動きを止めて私を見た。眼鏡の下に必死に何かを耐えていたぱっつんの表情が、一瞬ぐにゃりと引き攣って歪んだ。
「ああそうさ踏みたいさ! マ夕゛オさんのくたびれた後ろ頭を気の済むまで思い切りげしげし踏み付けにしてやりたい、たまらなくそういう気分さいまのボクはっ!!!」
「――シンちゃん……」
いつのまに音もなくかってにじむしょに入り込んでいたのか(あっそかおじちゃんだいぶ前からウチの天井裏に住みついてたんだった☆)、台所前に立ち尽くすグラサン無精髭おじさんの手から束ねた段ボール板がばらばら滑り落ちた。
「!!」
――ガコーン!!! ぱっつんの顎は完全に外れて床に着いた。
「ちっ、ちはっほれはちはっ」
ぱっつんは何を言ってるのかわからない間延びした顎で懸命に弁解した。
「シンちゃん!」
駆け寄ったマ夕゛おじちゃんがテンパるぱっつんをひしとハグした。
「……?!」
ぱっつんはおたまを握ったままアワアワしている、おじちゃんはずびびと鼻声を啜り上げて言った、
「おっ、おじさんは嬉しいよっ! ……本当は、ホントはずっと怖かったのさァ、おおっ、おじさんの俺の我儘で、若いシンちゃんに無理させてるんじゃないかってェェぇ……、」
――ひっくひっく、咽び泣くおじさんの猫背に手をやって、
「はひゃほはん……」
ぱっつんがしみじみ反対側の手にしたおたまを見つめた。おひるねざぶとんの上ですやすやおひるね中だったサダちゃんもうっすら片目を開けてそんな二人の様子を静かに窺っていた。
「たっだいまーんもすっ!」
と、そこへ♪るんらるんら、場違いなウカレ気分に茶色の紙袋抱えた銀ちゃんが戻ってきた。久々にすろっとで勝ち越してすこぶる上機嫌らしい。
「んっ? どしたオマエら?」
紙袋の中から顆粒いちご牛乳オレの素をいそいそ取り出しながら銀ちゃんが言った。
「……、」
――やれやれ、私はお手上げのぽーずを取った。サダちゃんも呆れ顔にすぴーと鼻を鳴らした。
その日はマ夕゛おじちゃんも私が夜寝る前に台所の流しの隅にさんかくに積んでおく食料をこっそり頂戴するのでなく、一緒にてーぶるを囲んで食事した。……パピィが二人いるみたいで若干うっとーしいけどぉ、人数の多い食卓はおかずの奪い合いバトルもガチンコモードで楽しいねっ! ねっサダちゃんっ!
「わうっ!」
とか言ってる傍からたまのまぐれ勝ちにちょーしこいてがぜん気ィ抜いていた銀ちゃんがさっそくサダちゃんにまるっと頭から食われました。世はまことじゃくにくきょうしょくなり。


+++